お知らせ・(講義に関連する)ニュース 2017
2017.12.27. |
外務大臣談話で述べています。 関連情報をまとめておきます(以下、強調はいずれもM本)。
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2017.12.20. | ![]() |
7月26日の記事の続きです。ついに初めて正式に7条の手続が開始されることになりました。委員会の発表とQ&Aをご覧下さい。 |
2017.12.14. -15. |
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2017 Kyoto-SNU Joint Student Seminar in International Law |
2017.12.14. | ![]() |
当事国会議の決議によれば、2018年7月18日からICCは侵略犯罪についても管轄権を有することになります(ICC規程5条2項)。日本はこの改正に参加していません。 |
2017.12.12. | ![]() |
上級委員の任期を見ていただければ、12月12日を以て委員が4名になったことがわかります。 報道によれば、新たな上級委員の選任を米が阻止しているためにこのようになっているということです。WTO紛争解決了解によれば、上級委員はWTO紛争処理機関により任命されます(17条2項)。そして、紛争処理機関の決定はコンセンサスによります(2条4項)。ということは、1ヵ国が頑張れば決定を阻止できることになります。 このままの状況が続けば、2018年10月1日には委員数が3名になります(上記任期表参照)。そうすると、紛争解決了解17条1項に定めるローテーション制が成立しなくなり、「紛争解決了解に従っていない上級委員会の報告は法的に無意味」という主張が出てくる可能性もあります。 |
2017.12.12. | ![]() |
最高裁判決のうち、事実に関するPDF9頁、法的理由付けのPDF10-11頁を読んでみてください。 独占禁止法の解釈に終始しており国際法に関する議論が一切ないことをどのように理解すべきか、また、国際法の観点から考える場合、客観的属地主義と効果理論との間に実践的にどのような違いがあるのか、考えてみる必要があります。 |
2017.12.08. |
EUサイトで現時点での条文が公表されています。日・EU共同声明によれば、内容については最終的合意に到達し、この後条文のlegal scrubbing(「清書」とでもいうべきでしょうか。表現の統一等、文言を見直して確定させる作業です)が済んだら署名に進むとされています。 投資部分については、9月13日の記事に記した内容に沿ったものになっています。 |
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2017.12.06. | ![]() |
米大統領声明を見てください。これが大問題になる理由の一つには、安保理決議478(1980)があります。この問題は論文cで扱ったことがあります。 * * * 【追記(12月21日)】 12月8日の安保理議事録(S/PV.8128)が公表されています。それによれば、発言した国の中、
となっています。 |
2017.11.28. | ![]() |
米国務長官が以下の声明を発表しています。
このthe United Nations Commandについて、外務大臣会見でも「国連軍」として言及されています。 「国連軍」と言っても、安保理の指揮下にある、あるいは安保理の補助機関であるわけではありません。朝鮮戦争時の安保理決議84(1950)3項により国連の旗を用いることが許されているにとどまり、同項に書かれているように、米の指揮(unified command under the United States of America)下にある軍隊です。1994年にBoutros Boutros Ghali国連事務総長が北朝鮮に送ったとされる書簡(北朝鮮が国連に提出した文書に引用されています)によれば、
ということです。 なお、日本は、この「国連軍」に関する地位協定(分割1, 2, 3, 4, 5)を締結しており、その地位協定(条約)は現在も有効です。特に重要なのは以下の諸規定です。
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2017.11.22. | ![]() |
地方議会で問題になっているこの問題に国際法が関連しないわけではありません。女子差別撤廃条約(日本語訳)の11条2項は以下の通り定めています(強調はM本)。
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2017.11.22. | ![]() |
事柄の性質上極めて長い判決なので、内容については判決文と裁判所が用意した要旨を含むページをご覧下さい。そこにも記されていますが、上訴される場合は残余メカニズムが担当することになります。 |
2017.11.21. | ![]() |
国際司法裁判所、安保理常任理事国国籍の裁判官候補者が初の「落選」 現職のイギリス国籍裁判官が立候補を取り下げたことによります。国際司法裁判所規程によれば、裁判官は国籍に関係なく選ばれることになっていますが(2条)、現実には、代表権問題が機微な問題であった時期の中国を除き、安保理常任理事国の国籍を有する裁判官は常に選ばれてきました。今回の選挙結果の背景事情についてはいろいろな憶測が出回っていますが、その一つに、IISDが数日後に出したレポートで扱っているICJ判事による投資条約仲裁人の兼任問題があります。 |
2017.11.16. | ![]() |
UPR(普遍的・定期的審査)と呼ばれているものです。今回の審査については、人権理事会のUPR日本ページのThird CycleのOutcome of the reviewとReport of the Working groupというところにいずれ文書へのリンクが貼られることになります。 |
2017.11.15. | ![]() |
コロンビアの要請に基づく勧告的意見で、日付は2017年11月15日ですが、公表されたのは2018年2月上旬です。 長い意見なので注目すべきポイントはいろいろあるのでしょうが、ざっと見た限りでは、予防原則を明確に認めたところが目に付きました。パラ180にその結論が述べられています。
パラ177では、ICJやITLOSが予防的「アプローチ」についてやや曖昧な立場を採っていることが指摘されていますが、米州人権裁判所としては、国家実行等(パラ176、178)に鑑み、義務として認めるということのようです。 議論の進め方からすると、米州人権条約の何らかの条項の解釈としてというよりは一般国際法の議論をしているようであり、上記の引用部分でも "los Estados" と一般的に述べられています。いかにも米州人権裁判所、と言うべきでしょうか。 |
2017.11.15. |
日経の2017年11月15日付記事に、以下のような記述があります。
このように書くと、ISDSと投資裁判所とは全く別個の概念であるようにしか読めません。しかし、上の記事でも訳されているように、ISDSとはinvestor-State dispute settlementすなわち投資家対国家紛争処理のことであって、投資裁判所も投資家が国家(EUも含みますが)を相手に訴える場ですので、投資裁判所における紛争処理はISDSの一形態です。 上の日経記事のように、「ISDSすなわち仲裁」と誤解している人が少なくありませんが、「DS」がdispute settlementの略であることを考えれば、たとえば調停もISDSの一形態に含まれ、仲裁に限定されているはずがない、ということは容易に理解できるはずです。 ちなみに、11月27日から開催されるUNCITRAL WGIIIのテーマはInvestor-State Dispute Settlement Reformであり、その枠組み内で投資裁判所設立を主張する意見もあることはリンク先文書を見れば判ります。 |
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2017.11.14. |
外務大臣会見(2017年11月14日)で以下のようなやりとりがありました。
軍縮会議には手続規則があります。その18条は以下のように定めています。
この問題についてはいろいろ議論されていますが、国際法を学ぶ者はまず手続規則を確認してからにしましょう。 * * * ちなみに、軍縮会議にはロゴがなく、したがってこの欄にも掲載することができません。このあたりに軍縮会議の成り立ちがよく現れています。国連軍縮委員会とは別物ですので、ご注意を。 |
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2017.11.05. |
スペイン中央政府により罷免されたカタルーニャ州政府首相がブリュッセルに所在しているところ、スペインからベルギーにヨーロッパ逮捕状に基づく移送請求があり、その手続がベルギーで始まっています(ベルギーの新聞記事)。Puigdemonはスペインでは公正な裁判が受けられないと主張していますが、ヨーロッパ逮捕状枠組指令では、政治犯罪は逮捕状執行拒否事由とされていません(参照、3条・4条)。EU基本権憲章(47条など)・ヨーロッパ人権条約(6条など)が援用されることになるかもしれません。 * * * 【追記(12月7日)】 スペイン最高裁は、12月5日に、ヨーロッパ逮捕状を撤回する決定を行いました。スペインでの逮捕状は維持しています。ベルギーの裁判所でスペインに不利な判断が出そうだから、あるいは、ベルギーの裁判所でスペインの主張が認められてもEU裁判所やヨーロッパ人権裁判所に持ち込まれる可能性があり、そうするとスペインが勝てるかどうかわからないから等、いろいろ憶測が飛び交っていますが、もちろん真相はよくわかりません。 |
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2017.11.02. | ![]() |
1998年のヌメア合意(動画)において、いずれ住民投票が行われることは決まっていましたが、それをどのように行うか、とりわけ、有権者の範囲をどのように確定するか、という難問が残っていました。有権者の範囲はこのような事例で頻繁に問題になり、西サハラ(MINURSOサイト)についてはそれ故に住民投票が先延ばしになり続けています。 2017年11月2日の合意では有権者の範囲について合意に至り、住民投票が行われることがほぼ確実になりました。 |
2017.10.31. -11.01. |
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2017 NCCU-Kyoto Joint Seminar in International Law |
2017.10.26. | ![]() |
駐サンフランシスコ領事館、駐ニューヨーク通商代表部の文書が差し押さえられたことにつき、関連条約に違反すると批判しています。外務報道官の声明中に条文も挙げられていますので、確認しておいて下さい。ただし、そこに出てくるConsular Conventionとは、ウィーン領事関係条約ではなく、米ソ領事関係条約であることに注意して下さい。 |
2017.10.24. | ![]() |
産業技術総合研究所が「質量の単位『キログラム』の新たな基準となるプランク定数の決定に貢献」と発表したことが話題となっています。 そのプレスリリースに、国際度量衡局(BIPM)という名前が出てきます。Bureau international des poids et mesuresのことです。これはかつての国際行政連合の一つですが、現在の法的地位はどうなっているでしょうか。 BIPMのサイトは、「明文規定はないが、我々は国際機構である」と力説しています。International organizationとinterngovernmental organizationという言葉が混在していますが、同じことを意味しています。明文規定については、BIPMの設立文書であるメートル条約を見れば、確かに存在しないことが判ります。本部を置くフランスと本部協定を締結していますが、その条文を見てもはっきりしません。たとえば、1969年になってようやく本部協定が締結されたようですが、その2条はBIPMがフランス法上の法人格を持つことしか定めていません。本部協定の中の特権免除に関する規定(3条〜13条)や紛争処理規定(15条)はBIPMが国際法人格を有することを前提としている、と言えなくもありませんが、決定的ではありません。 その後の本部協定の改正を見ても、国際法人格に関する明文規定が置かれるには至っていません。ただし、本部協定の改正のフランス議会での審議過程に注目すべき記述があります。2007年改正の審議をしているフランス国民議会(下院)において、国民議会の外務委員会が提出した報告書(Rapport de M. Jean-Jacques Guillet, au nom de la commission des affaires étrangères, n° 1052. 上記本部協定のリンク先PDFの末尾にも含められています)の7頁に、"Le Bureau international des poids et mesures (BIPM) est une organisation intergouvernementale chargée d’assurer l’uniformité des mesures."(「国際度量衡局は、度量衡の統一性を確保する任務を有する政府間機構である。」)と明記されており、フランス議会の認識としてはBIPMは国際機構であるということが判ります。 |
2017.10.12. | ![]() |
国務省の声明です。UNESCO事務局長も声明を発表しています。 |
2017.10.10. | ![]() |
ちなみに、隣国のフランスは、一方的(=スペインの同意を得ない)独立宣言は違法であり承認されない、との声明を発表しています。 |
2017.09.23. | ![]() |
国際海洋法裁判所特別裁判部、ガーナ・コートジヴォワール海洋境界画定判決 境界画定それ自体については、「国際判例によれば」と何度も繰り返していることに現れているように特段新たなポイントのない判決ですが(そのこと自体が見るべきポイントである、ということはできるかもしれませんが)、判決の最後の部分は極めて重要です。 係争海域においてガーナが行っていた大陸棚資源開発は違法であるとのコートジヴォワールの主張に対して、裁判部は以下のように述べています。 主権的権利侵害であるため違法との主張について(パラ561以下)
国連海洋法条約83条3項(「最終的な合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う」義務)違反との主張について(パラ596以下)
83条3項に関する判示はやや逃げた感もあり、Paik判事が個別意見において特別裁判部はもっと一般論を展開すべきだったとの主張をしています。が、いずれにせよ、重要な判決であることには違いありません。 * * * 特別裁判部は、ITLOS規程15条に基づいて設置されるものです。ICJの場合、裁判部(ICJ規程26条)を構成する判事をどのように選任するかについては曖昧なところが残っていますが、ITLOSの場合、ITLOS規則(規程ではないことに注意)30条3項において、紛争当事者の同意により決定することが明示されています。特別裁判部の判決は裁判所の判決として扱われる(ITLOS規程15条5項)ことはICJ(ICJ規程27条)と同様です。 |
2017.09.13. | ![]() |
EUの常設投資裁判所構想については2016年2月29日の記事およびその他bfをご覧下さい。 個々の条約ごとに常設裁判所を一つずつ作っていくのはコスト面で無駄が多いと共に、とりわけICSID条約や外国仲裁承認執行NY条約との関係で大いなる問題を生むところですので、どうせ常設裁判所を作るのであれば多数国間のものにするというのは理解できるところです。多数国間条約に基づく常設投資裁判所を設立することについては法的な問題はあまりなく、そのような裁判所を望ましいと考えるかどうかという政策的な問題が中心となります。 EUは、2017年7月10日の記事で述べたUNCITRALにおける投資家対国家紛争処理制度改革において多数国間常設裁判所(MIC: Multilateral Investment Court)を設立する多数国間条約を作成することを考えています。今回の文書は、その条約交渉の権限を委員会に与えることを理事会に求めるものです(EU運営条約218条2項・3項)。EU委員会による今回の文書の本体はそのための理事会決定の案文とその説明書で、EUが目指す多数国間常設投資裁判所の姿はAnnexに記されています。その内容は、多数国間の裁判所であることを除き、CETAにおける常設投資裁判所(とりわけCETA 8.27条、8.28条、8.30条、8.36条)とほぼ同じですが、いくつか違うところがあります。
これに各国がどう反応するか、今後の流れに要注目です。 |
2017.09.13. | ![]() |
EU、FTA交渉からポートフォリオ投資・投資保護・投資家対国家紛争処理を除外 2017年5月16日の記事で触れたEU裁判所の意見により、FTAの投資関連規定のうち明確にEUの排他的権限内にあるものは「外国直接投資(foreign direct investment)」のみとなりましたので、それ以外の規定を含めてしまうと、CETA前のワロン騒動が繰り返されることになりかねません(参照、2016年10月21日・28日の記事)。 それを避けようとするならば、共有権限部分をFTAに一切含めず、FTAにはEU排他的権限事項のみを含めることとし、それによりEU議会・理事会の承認のみ(EU運営条約218条6項(a))で発効させることができるようにする必要があります。今回、オーストラリアおよびニュージーランドとのFTA交渉の権限を委員会に与えることを理事会に求める(EU運営条約218条2項・3項)理事会決定案が公表されました(オーストラリアFTA関連本文・Annex、ニュージーランドFTA関連本文・Annex)。決定を行うのはあくまで理事会ですが、委員会の案がすんなり認められると思われます。 以下がポイントとなります。
おおよそのところ、リスボン条約発効前にEUが締結していたFTAと同じようなものに先祖返りすることになります。その種のFTAで直近のはEU・韓国FTAで、この条約の署名はリスボン条約発効直後ですが、交渉は発効前になされています。 EUとしては、投資家対国家紛争処理手続は本日付の別コラムに述べる多数国間常設裁判所で行うため、個々のFTAに定める必要はないとの考えでしょう。残るはポートフォリオ投資および投資の「保護」ですが、これについても国際法上の規律を及ぼそうとするならば、FTAとは別個の条約を改めて交渉するしか方法はありません。つまり、今後EUとFTAを結びたい国は、(1) FTA(投資についてはごく一部のみ規定)、(2) 投資保護条約、(3) 多数国間常設裁判所設立条約、の3つに入らなければ、典型的なFTAに置かれている規定の適用を受けられないことになります。日・EU EPA交渉にも影響があるでしょう。 |
2017.09.13. | ![]() |
日本であれば外為法による種々の規制があり、現在も東芝関連でときどき報道にも出てくるところですが、EUではこれまでルールがありませんでした。中国などの国営企業からの投資急増を受けて、新たに規則を作るようです。現時点では、これから規則を提案するという趣旨の文書のみ出ています。 偶然ながら、同じ9月13日に、やはり中国企業からの半導体企業への投資を阻止する命令が米大統領により出されています。もちろん、アメリカ合衆国にはそれを可能とする国内法があり、命令文中に明示されています。 |
2017.09.11. | ![]() |
国連人権高等弁務官、ミャンマーにおけるロヒンギャの扱いを「民族浄化」と批判 "The situation remains, or seems, a textbook example of ethnic cleansing."と述べています(人権理事会ストリーミングファイルの9分30秒頃)。 ダライ・ラマはこの件でミャンマーを批判しているとのことです(ダライ・ラマのサイトにはまだ記事が載っていません)が、全日本仏教会は今のところ何も言っていないようです。 |
2017.09.07. | ![]() |
(元)配偶者扶養料をめぐっての国内裁判がオーストリアで1991年に始まり現在も係属中という事例です。「合理的期間内 (within a reasonable time)」の裁判を求めるヨーロッパ人権条約6条1項については、どの程度で「不合理」と言えるようになるのかが問題になります。 Goldnagl v. Austriaでは、もちろん当該事例の事情によるとしつつ(パラ41)、本件における遅延の責任の一端は申立人にあるとしても、全体としてみればこれは長すぎると判断しています(パラ44)。刑事手続だと5年ぐらいで違反となる例が多いと言われることがありますが、民事とはいえ、27年というのは珍しいのではないでしょうか。 ただ、ヨーロッパ人権裁判所への申立は2012年1月26日ですので(パラ1)、人権裁判所での手続も5年以上かかってしまっているというのも目を引きます。 |
2017.09.06. | ![]() |
ベルギー、CETA常設投資裁判所制度とEU条約・EU運営条約との両立性につきEU裁判所に質問 ベルギー外務省サイトに記事があります。この質問にはEU裁判所が回答することになります。EU裁判所によるこの種の意見については、5月16日の記事を参照して下さい。 CETAについては7月31日の記事を参照して下さい。 |
2017.09.06 | ![]() |
ILAウェブサイトのCommitteesのページで、Procedure of International Courts and Tribunalsをクリックし、Documentsタブをクリックして下さい。 まだたたき台でしかありません。コメント歓迎します。 |
2017.09.04. |
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閉鎖は国際法違反だとロシアが述べた、との報道がありますが、外交関係条約・領事関係条約を見ても、閉鎖それ自体が国際法違反になるというのはやや理解しがたいところがあります。 そこでロシアの主張を確認してみると、閉鎖それ自体が国際法違反だと主張した形跡のないことがわかります。それどころか、プーチン大統領は、閉鎖する「権利」を米は有していると認めつつ、その権利の行使の仕方が問題だと主張しています。 閉鎖のやり方のどこが問題だとロシアが考えているのか、ロシア外務省報道官の声明も参照しつつ、外交関係条約・領事関係条約を読んで考えてみて下さい。 |
2017.08.18. | ![]() |
検閲に協力する方がまだましだからとの主張ですが、にわかには信じがたい決定です。問題のChina Quarterly誌の編集長コメントはこちら。ネットで検索すればすぐに判りますが、世界中のメディアで話題になっています。 ケンブリッジ大学出版局という、極めて大きな役割を果たしている学術出版局は国際社会において「公的」な役割を果たしているのだから、グローバル行政法理論によれば……などということも考えてしまいます。 * * * 【追記(8月22日)】 CUPは検閲協力を停止したとのことです。今後どうなるのか要注目ですが。 * * * 【追記(8月24日)】 中国の環球時報が社説でこの問題を扱っています。「正直な」社説ですが、とりわけ最後の2段落は味読に値します。 |
2017.08.17. | ![]() |
韓国政府の公式サイトの当該記者会見の記事のページには記載がないのですが、韓国のメディアによれば、
と述べたとのことです。なお、この大法院の判決には英訳があります。 これについて、日本では、大統領は「1965年の日韓請求権協定でも個人の請求権は消えていないとの認識を示し、『解決済み』とする日本の立場を受け入れない考えを明確にした」 というように報じられています。 この問題は微妙なニュアンスに満ちていますので、慎重に考える必要があります。 関連する条約は、1965年の日韓請求権・経済協力協定です。
これを受けて、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」という長い名前の法律(略して「措置法」)が制定されています。関連部分は次のとおり。
ここから、請求権協定が定めているのは「請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたこととなること」および、「請求権に関してはいかなる主張もすることができない」ということであり、また、請求権は請求権協定によっても措置法によっても(少なくとも明示的には)「消滅したもの」とされていないこと、がわかります。この点について、外務省国際法局長・内閣法制局長官を務めた小松一郎は、
と述べています。 1965年日韓請求権協定により個人の請求権が消滅したかどうかについて、日本政府は以下のような立場を示してきています(強調はいずれもM本)。
日本の裁判所は、上記の政府見解と異なり、「請求権」も日韓請求権協定2条3の「財産、権利及び利益」に該当するものである限りにおいて措置法により消滅させられた、と判断しています。もっとも、日韓請求権協定は個人の請求権を消滅させていないという点では日本政府と同じ立場です。
もっとも、ここまでに述べてきた日本政府・裁判所の見解とは微妙に異なる政府見解も示されています。
韓国政府・裁判所の立場を検討する際、このような日本政府・裁判所の見解を踏まえておく必要があります。 |
2017.08.14. |
2年前に似たような記事を載せましたが、ここのところさらに議論も実践も進んできています。AI時代に要らなくなる法律家とはどういう人たちか、これから必要になるのはどういう法律家か、夏休みにじっくり考えてみて下さい。
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2017.08.04. | ![]() |
まずは協議の要請がなされています。仮に、サウジアラビア等が安全保障例外(GATT 21条、GATS 14条bis、TRIPS 73条)を主張し、かつ小委員会(・上級委員会)の判断が出るに至るとすると、貴重な先例になります。 |
2017.08.03. | ![]() |
決議2370 (2017)です。テロ対策とりわけ小火器の供給に関する一般的な内容を持つ決議です。一般的という意味で「立法的」な決議としては1373 (2001)がよく知られており、この決議も1373 (2001)に明示的に言及しています(パラ1)。しかし、基本的に非拘束的表現が用いられており、その点において1373 (2001)とは大きく異なります。なぜそのような違いが出るようにされたのかがきちんと説明できると面白いのですが。 |
2017.07.31. | ![]() |
7月8日の記事でも触れたCETAですが、仏憲法院に違憲の訴えがなされていたところ、これが斥けられました。憲法院の決定の中で特に重要と思われるのは以下の諸点です。
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2017.07.28. | ![]() |
メディアでは、「緊急輸入制限(セーフガード)」という言葉が使われています。ところが、上記農水省・財務省のサイトでは「関税(の)緊急措置」という表現が用いられています。また、報道の中には、
というものもあります。ところが、上記農水省・財務省サイトには「現行の38.5%からWTO協定で認められた譲許水準である50.0%に戻す」と書かれています。また、WTO上のセイフガード措置を説明する経産省のページには、今回適用される関税緊急措置の説明はありません。つまり、日本政府の理解としては、今回の措置はGATT19条あるいはSG協定上のセイフガードではなく、それを援用するまでもなくWTO/GATT上認められている措置ということになります。 なお、 今回の関税緊急措置の国内法上の根拠規定たる関税暫定措置法7条の5を見る限り、このような関税緊急措置は要件が充たされると当然に執られるものであり、政府側に裁量の余地はないようになっています。 今回主たるターゲットとなる米の農務長官は、批判的声明を出していますが、日本の措置は違法だとは述べていません。 |
2017.07.26. | ![]() |
EU委員会、ポーランドに対してEU条約7条を援用する用意があると明言 委員会サイトに記事があります。EU条約7条によれば、措置を執るのは(議会の同意を得た上で)理事会ですが、委員会は理事会に措置の検討を要請できます。 これまでにこの条項に基づく手続がとられたことはありません。1999年の対オーストリア制裁はよく知られていますが、これはEU条約7条に基づく手続ではありませんでした。ただし、当時のEU条約(アムステルダム条約による修正を経たもの)の7条は現在の7条とは多少異なります。 |
2017.07.18. | ![]() |
ICJ、カブチコヴォ・ナジュマロシュ事件の取り下げに「留意」 プレスリリースが出されています。スロヴァキアが取り下げを申し出て、ハンガリーもそれに反対しないとのことですが、改めて訴える可能性を両者とも残したままであるからか、裁判所規則88条に従った「命令」は出されていません。 |
2017.07.10. | ![]() |
そもそもどういう「改革」が念頭に置かれているのか、ということから議論が始まります。現時点ではプレスリリースのみですが、いずれはUNCITRAL総会50回会期のページの一番上に報告書が掲載され、そこで少し詳しく説明されます。これまでのWG IIではなく、WG IIIが新規に投資仲裁に割り当てられることになりました。 |
2017.07.08. |
CETAについては2016年10月28日の記事を参照して下さい。 カナダ首相とEU委員会委員長との共同声明において、9月21日から暫定適用と発表されました。 |
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2017.06.29. | ![]() |
いろいろな意味で注目された仲裁の本案判断がようやく出ました(部分判断につき、参照、2016年6月30日の記事)。適用法規が"international law, equity and the principle of good neighbourly relations"であることについては、パラ1079などにおいて具体的な「適用」について議論されています。 クロアチアは、本仲裁判断には拘束されず履行しない、との立場を明確にしています(クロアチア外務省による経緯まとめ)。南シナ海仲裁における中国(参照、2016年7月12日の記事)やアークティック・サンライズ号事件におけるロシアの立場と似ていますが、事実関係は大きく異なります。その事実関係の差が法的な議論にも違いを生むのか、慎重な検討が必要です。 |
2017.06.24. | ![]() |
詳しくは事務局長の声明を見てみてください。ベネズエラがOASを脱退すると声明したことへの反応ですが、声明の内容にOASの特質がよく現れています。 |
2017.06.22. | ![]() |
国連総会、チャゴス諸島に関する勧告的意見を国際司法裁判所に求める 総会決議71/292を読めば判りますが、非常に重たい問題が国際司法裁判所にて検討されることになりました。決議は94-15-65の多数で採択されています。勧告的意見というよりは争訟事件にふさわしい内容ですが、なぜ勧告的意見手続が利用されるかは、イギリスのICJ強制管轄権受諾宣言を見ると理解できるでしょう。 この問題は2015年3月18日の記事に記した仲裁でも議論されていますが、そこでは本格的には扱われていません。 |
2017.06.12. | ![]() |
国連人権理事会表現の自由特別報告者、日本における表現の自由に関する報告 2017年5月22日付の記事の特別報告者と類似の、しかしそれとは別の特別報告者です。 まだ理事会ウェブカメラにも報告者サイト(Japanのreport due in June 2017というところです)にも掲載されていません(6月13日現在)が、近いうちに載るでしょう。日本について批判的とメディアで報じられていますが、特別報告者の仕事は批判することだと言って差し支えないでしょうから、そのこと自体は当然です。 日本政府は当然ながら反論していますが、表現の自由という問題の性質上、批判をされた国の政府が反論しても他者から見れば必ずしも説得的とは限らず(○○国や××国の政府がこの種の批判に反論する場面を想像してみてください)、日本のメディアにも特別報告者を批判するものがあるようですがこれまた他者から見れば必ずしも説得的とは限らず(△△国や□□国のメディアが自国政府を擁護し批判者に反批判を加える場面を想像してみてください)、反論しようとしてもなかなか難しいところがあります。 |
2017.06.09. | ![]() |
カタルーニャ政府のサイトに記事が掲載されています。カタルーニャ語と英語で書かれておりながら、スペイン語のページがないというのが何とも言えません。 |
2017.06.05. | ![]() |
JAMSTECのプレスリリースを見てください。そこに、「排他的経済水域」と記されており、報道でも「日本の排他的経済水域内」と表現されています。 良い機会ですので、国連海洋法条約56条3項を読んでおいて下さい。 |
2017.06.01. | ![]() |
米、パリ協定から脱退予定と宣言 大統領声明によればthe United States "will" withdrawとのことであり、すでに脱退通告をしたわけではなさそうです。United Nations Treatiesのサイトには(6月5日現在では)まだ脱退についての記事がありません。 それにしても、non-binding agreementからwithdrawするなど、いろいろと面白い表現の詰まった声明です。 |
2017.05.22. |
プライヴァシー権特別報告者は、国連人権理事会決議28/16により任命された専門家であり、同理事会第28回会期採択決議のページに示されているように、コンセンサスで選任されています。その特別報告者から、各方面から懸念が示されているとして日本政府に対しいくつかの質問がなされた(5月18日付書簡)というのが事の発端です。 内閣官房長官の5月22日午前の会見によれば、これを受けて日本政府は抗議をしたとのことですが、何に抗議をしたかというと、「直接説明する機会もなく、公開書簡の形で一方的に発出した」ことのようです(会見動画7分30秒頃)。たしかに、質問には答えれば済むので質問されたこと自体に対して抗議するというのは妙な話で、質問の仕方に抗議をしたというのであれば理解できます。もっとも、公開書簡を送る前に内々の打診をすべしという明文規則は(私の知る限り)ありませんので、外交儀礼に反するという抗議でしょうか。官房長官は外務省を通じて抗議をしたと述べていますが、現時点(5月23日現在)で、外務省やジュネーブ国際機関代表部のウェブサイトにそれに関する記述はないようで、抗議の内容を確認することは今のところできません。 |
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2017.05.16. | ![]() |
廃棄に関する大統領令は、エクアドル大統領府サイトで検索できます。Período Presidencialを2013-2017にした上で、日付で探してみて下さい。スペインとの条約など、16本の条約の廃棄に関する大統領令が出てきます。大統領には、投資条約は有害無益なので廃棄すべきとの報告書が出されており、形の上ではそれを受けての廃棄ということになっているようです。 |
2017.05.16. | ![]() |
ECJ、EU・シンガポールFTAは共有権限と判示 2016年12月21日の記事で触れていた事案について、裁判所の意見(仏語版・英語版)が表明されました。いつも言うことですが、この「意見」は拘束力を有します(TFEU 218条11項)。 投資家対国家紛争処理については、avocat généralの見解(パラ529)とは異なり、EUが実体的排他的権限を有する場合であっても、構成国が投資家から条約上の紛争処理制度に訴えられる可能性がある場合には、そのような手続問題は実体問題に付随するもの(auxiliaire/ancillary)とは言えないとして、共有権限を認めています(パラ291-293)。 結論は予想どおりと言えるでしょうが、理由付けについてはいろいろ議論できそうです。 ところで、このような結論になった以上、この種のFTAは全て共有権限となります。すなわち、EU構成国の全ての議会でも承認される必要があるということになり、先のCETAの署名前の騒ぎが繰り返されることになるかもしれません(参照、2016年10月21日・28日の記事)。 なお、裁判所への質問が排他的権限かどうかに限定されていたので、たとえば投資家対国家紛争処理制度がEU法と整合的かについては判断されていません(パラ29-30)。 * * * 【追記(2017年5月18日)】 これを受けて批准手続がすぐ進むかというと必ずしもそうではなく、まずは常設投資裁判所制度(参照、2016年2月29日の記事)を同FTAに組み込むための新たな合意がなされるはずです。EUが常設投資裁判所構想を打ち出したのはこのFTA署名後ですので、署名時の条約文ではまだ仲裁になっています。これまでの経緯を見ても、Malmström委員のシンガポールでの声明を見ても、常設投資裁判所制度が組み込まれるのは確実でしょう。 |
2017.05.14. | ![]() |
いろいろ報道にも出ていますが、WD社のページにも記事があります。 ICCと聞けば、国際法を学んだ者は国際刑事裁判所を思い浮かべるでしょうが、それ以外の人にとっては国際商業会議所のことです。ここの商事仲裁は頻繁に利用されています。これを「国際仲裁裁判所」というのは、「国際 international」という語の語源からすると不適切なのでしょうが、この表現が一般的に用いられています。この種の仲裁については、『国際商事仲裁の法と実務』を参照してください。 |
2017.05.12. | ![]() |
拷問禁止委員会が韓国の国家報告について示した最終所見(現在アップされているのは暫定版)です。日韓合意とその見直しの勧告は、パラ47-48にあります。国家報告制度については国際法の教科書を見てください。 この記事に書かれているように、国連の見解というわけではないのだが「国連の」勧告と言われることに一理ないでもない、ということは確認しておきましょう。 ところで、上の記事はせっかくそういう良いことを書いておきながら、「このような委員会は独立性に欠ける」という批判をしています。記者が国際司法裁判所ディアロ判決(2010年)のパラ66-68を読んでいないのは自明ですが、それ以前に、この種の委員会の委員に選ばれている専門家たちを面罵していることを自覚しているのか、不思議でなりません。たとえば、外務省のこの記事や、この記事、この記事、この記事などを見てみてください。委員会に反論するのであれば、委員会の示した条約解釈あるいは事実認識が誤っていることを示す必要があります(参照、その他ba)。 |
2017.05.04. | ![]() |
Eiser c. Españaです。これまでに類似の事実関係に基づくCharranne c. Españaではスペインが勝訴しており、もう一件未公表の事件でもスペインが勝ったと報じられていました。 Charanneとは、事実関係が根本的に異なるとして区別しています(パラ367)。Eiser仲裁廷は、本件では投資の前提となる制度に根本的変更(un cambio fundamental)が加えられたため公正衡平待遇義務違反が生じており(パラ363、パラ388以下)、対してCharanneでは制度変更の効果がはるかに小さかった(mucho menos dramáticos)(パラ368)、と述べています。 未公表のIsolux事件仲裁判断ではスペインが勝訴していたようであり、本件でスペインが同仲裁判断を援用していますが、未公表のため仲裁廷は同判断を考慮することを拒否しています(パラ88-89)。投資仲裁の透明性という観点からも興味深い判断です。 |
2017.04.26. | ![]() |
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2017.04.25. | ![]() |
パリ控訴院、スペイン・ベネズエラBITに基づく仲裁判断を部分取消 原審はSerafín García Armas y Venezuelaの管轄権判断(2014年12月15日)です。ベネズエラがICSID条約から脱退したためUNCITRAL仲裁規則(1976年版)による仲裁となったのですが、ベネズエラにとっては皮肉なことに、そのためにICSID条約25条2項(a)による被申立国国籍者(重国籍者を含む)の排除が適用されなくなり、管轄権が認められた、というのが原審でした。 本案は係属中ですが、ICSID仲裁と異なりUNCITRAL仲裁は本案を待たずに仲裁地(本件ではパリ)国内裁判所における取消手続の開始が可能であり、取消請求を受けたパリ控訴院は、原審の中心的論点とは別の論点で現判断を部分的に取り消しています。上記BIT1条2項によれば投資家(申立人)は投資をした(investi)時点において条約当事国(スペイン)国籍を有している必要があるところ、原審はその確認をしていない、という理由です(控訴院判決の請求理由第4・第5に関する部分)。国内裁判所が投資条約仲裁判断を取り消す例はありますが、珍しいと言えます。 |
2017.04.18. | ![]() |
投資条約仲裁の透明性に関するモーリシャス条約、今年10月18日に発効 この日にスイスが批准し、最終的同意を与えた国が3ヵ国となったため発効が確定しました。日本は……。【参照、2014年12月10日の記事】 |
2017.04.07. | ![]() |
米東部時間の6日になされた米大統領声明を見る限り、人道的干渉か自衛権行使かそのいずれかで合法と説明するようです。近いうちに、法的な説明が米政府によりなされるはずです。 【追記(4月8日)】 各国の反応 ロシアのように違法と主張する国を除き、各国とも表現に非常に気を遣っていることがわかります。
安保理での議論 議事録はまだ出ていませんが、UN Web TVで映像を見ることができます。米の攻撃を批判する国が国際法違反を主張するのは当然ですが、米の攻撃を支持するあるいは攻撃に理解を示す理事国(英・伊・仏・日)も法的な根拠に明示的には言及していません。米代表も、"We were fully justified to do so."と述べるのみで、法的根拠を明示してはいません。 【追記(4月11日)】 現時点において、いまだに本件攻撃の法的根拠に関する米の説明はなされていないようです。2001年10月7日に米がアフガニスタン領域に対して攻撃を行った際は、国連憲章51条に基づく安保理への報告がその日のうちになされています(U.N. Doc. S/2001/946)。今回は、自衛権行使であることを匂わせる発言はなされているものの、51条に基づく報告はまだなされていないようです。 国務省サイトには国務長官のテレビインタビュー程度の記事しかなく、そこでも法的根拠については説明がありません。これまで、報道官記者会見においてこの種の説明がなされることが多かったのですが、国務省サイトを見ても、4月11日現在、4月の記者会見記事がありません(!)。 国防省サイトの方がむしろわずかなりとも情報が多いのですが、そこでも、シリアによる化学兵器使用は国際法違反である、あるいは、米の措置は比例性のとれたものである、と述べるのみで、米による攻撃の合法性根拠については言及がありません。 これが、米の現政権の情報公開への消極的姿勢を示すものなのか、現政権発足来の政府機関内の人事の混乱に起因するものなのか、政権内で見解の対立が生じているからなのか(国務省法務部・法律顧問代理の立場は?)、あるいは他に何か理由があるのか、よくわかりませんが、このように沈黙を続けていれば米による攻撃の合法性について懐疑的な見方が強くなっていくでしょう。 |
2017.04.04. | ![]() |
シリア調査国際独立委員会、シリアにおける化学兵器使用を「戦争犯罪」と非難 この委員会が何者かについては、国連人権高等弁務官事務所サイトに説明があります。化学兵器の使用が戦争犯罪になることは、国際刑事裁判所規程8条2項(b)(xviii)に定められています。ただし、そこでは「化学兵器 chemical weapons」という語は用いられていません。このことを含め、化学兵器使用禁止の問題については、浅田先生の論文があります(Masahiko Asada, "A Path to a Comprehensive Prohibition of the Use of Chemical Weapons under International Law: From The Hague to Damascus", Journal of Conflict & Security Law, vol. 21, 2016, pp. 153-207)。 |
2017.03.29. | ![]() |
イギリス首相官邸サイトに通告文があります。それを受けてのヨーロッパ理事会の声明と、ヨーロッパ委員会によるQ&Aがあります。 Brexitについては様々な機関が情報提供しています。Middle Templeのリンク集がなかなか便利です(英語以外の言語が無視されているというのがいかにもイギリスらしいところですが)。 |
2017.03.28. | ![]() |
スコットランド議会が独立に関するイギリス(連合王国)政府との交渉をスコットランド政府に授権 スコットランド政府サイトに記事があります。Brexitにより事情が変わったということです。 なお、3月29日の英によるBrexit通告文の中に、"From the start and throughout the discussions, we will negotiate as one United Kingdom"という一文があります。 |
2017.03.24. | ![]() |
決議2347 (2017)です。憲章七章下の決議ではなく、"decide"や "shall"の語も用いられていませんが、特定の事態への対応ではなく一般的なルールを定めている点で、著名な決議1373 (2001)や1540 (2004)と共通したところがあります。UNESCOや国際刑事裁判所など、様々な国際機構・機関の活動に言及があるのも興味深いところです。 |
2017.03.23. | ![]() |
Case law databaseという名称です。たしかに、これまでのものよりかなり便利なようです。説明はこちら。「残余メカニズム」については、2015年12月31日の記事を参照してください。 |
2017.03.09. | ![]() |
国際司法裁判所所長、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ「代理人」による再審申立不受理決定 2007年のジェノサイド条約適用事件判決時点でボスニア・ヘルツェゴヴィナ代理人であった者が同判決の再審(裁判所規程61条)を求めた際、当該代理人が再審申立につき同国を代表する資格があるのかが問題となりました。ヨーロッパ人権裁判所のSejdic判決でも問題となったように、同国の「大統領府(Presidency)」は複雑な形態をとっているのですが、国際司法裁判所書記からの照会に対し、大統領府構成員の2名が(この時点での)再審申立を否定し、1名が肯定するという状況を受けて、所長が「再審申立の決定はなされていない」との判断を下しました(英語版はこちら)。手続的にも実体的にもいろいろな問題が詰まった事例です。 |
2017.03.01. | ![]() |
通商代表部(USTR)の議会への報告書の中で、「新政策方針では、WTOの紛争解決手続きに『そのまま従うことはない』と明記し」(日経3月2日付記事)たとのことですが、同報告書の3ページでは、
と述べており、この表現を見る限り、特段変わったことを言っているわけではありません。文中の"the United States"を"Japan"に、"U.S. law or practice"を"Japanese law or practice"に置き換えても同じことになります。 もちろん、報告書全体をみれば、「米の国益に反するWTO紛争処理機関の判断には従わない」という雰囲気に満ちているのですが、報告書の文章表現はかなり慎重であることは認識しておく必要があるでしょう。 |
2017.02.22. | ![]() |
南ア高等法院、国際刑事裁判所規程からの脱退通告・当該通告送付命令は違憲無効 2016年10月27日の記事の続報です。North Gauteng高等法院の判決は、当然ながら、脱退それ自体が違憲だとは述べていません。あくまで、脱退通告のためには議会の事前承認が南アフリカの憲法上必要であり、それがないので手続的に違憲だということです(パラ81)。 主文3で、政府に対し、脱退通告を撤回(revoke)することが命じられています。無効なものを撤回するというのは論理的に無理な話ですが、おそらく、「国内法上無効」な通告を「国際法上撤回」せよという趣旨でしょう。 もちろん、政府側は上告するかもしれません。 【追記(3月18日)】 3月7日付で、南アフリカは「判決に従う」として脱退通告を撤回しています。 |
2017.02.17. | ![]() |
ガンビアの内政で混乱があったことは2017年1月20日付の記事で述べたとおりですが、その後に成立した新政権は、2016年10月27日の記事(南アフリカ関連)に記したICC規程からの脱退通告を撤回(rescind)する通告を寄託者たる国連事務総長に行いました。 脱退通告を撤回した例としては、インドネシアが1965年に国連からの脱退を通告し、それを受けて国連総会は予算分担率の決定の際にインドネシアを除外したものの、翌1966年のインドネシアでの政権交代後に新政権が国連との「協力再開」を通告してきたところ、国連総会にて、1965年の脱退通告は実は脱退通告ではなく協力の一旦停止通告だったということにするというコンセンサスが成立した(パラ7)ことがあります。 |
2017.02.13. | ![]() |
国連安保理、テロ対策を求める決議2341(2017)を採択 1項および2項で、かなり回りくどい表現ではありますが、死活的に重要なインフラへのテロ攻撃への対策をとることが求められています。このような内容の決議は初めてと思われます。 前文で一般論としてテロが平和に対する脅威を構成すると述べられていますが、第七章下の決議とはされておらず、"decide"という文言も国家が執るべき措置との関連では用いられていません。 |
2017.02.07. | 国連事務総長、イスラエルによる入植合法化法(収用法)を国際法違反と批判 イスラエル議会で採択された同法の最終確定版はまだ公表されていないようですが(ヘブライ語なのでよく判りませんが)、入植地を収用してパレスティナ人地主に地価の125%を補償として支払う、という内容のようです。議会のプレスリリース英語版が出ています。 これに対し、国連事務総長報道官が「国際法違反」との声明を発表しています。 国際法のどの規則に違反するのでしょうか。国連人権理事会が任命した事実調査団の報告書によれば、ジュネーヴ第4条約(文民条約)49条です(パラ16)。2016年12月23日の記事も参照して下さい。 イスラエル政府の立場は、上記議会プレスリリースにも示されているように、当該土地はイスラエル領だというものです。たしかに、イスラエル領であれば基本的に国際法の問題にはなりません。しかし、国連は、安保理決議242 (1967)(パラ1)や「パレスティナの壁」国際司法裁判所勧告的意見(パラ78)等に示されているように、イスラエルによる占領地だとの理解に立っています。 * * *
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2017.01.31. | ![]() |
そのように報道されていますが、現時点ではまだAUのウェブサイトには掲載されていません。いずれ、決定文書等のページに掲載されるものと思われます。参照:2016年10月12日・27日の記事 |
2017.01.30. | ![]() |
アフリカ連合(AU)前身のアフリカ統一機構(OAU)時代に、西サハラ問題での対立が原因で脱退していましたが、今回AUへの新規加盟が認められたとモロッコ外務省サイトに記事があります。AUのウェブサイトには現時点では記事がなく、AU憲章29条の手続もこれからのようで、ウェブサイトの加盟国リストもまだモロッコを含んでいません。 |
2017.01.27. | ![]() |
米、特定国籍者の入国を90日間、難民申請受付を一般的に120日間停止 大統領のexecutive orderを大統領府ウェブサイトで見つけることができないのですが、US Virtual Embassy Iranのサイトに掲載されています。7ヵ国の国民が入国できなくなると報道されているのは、
という部分で、section 217(a)(12) of the INAにいう"designation"を示す文書がネット上では見つかりませんが、それがその7ヵ国だということです。 さらに、
によれば120日間は難民申請も受け付けられないことになりましたので、IOM/UNHCRがソフトな表現ながら抗議声明を出しています。 なお、一般の議論では「難民」と「移民」とが混同されがちなのですが、法学部生はきちんと区別して議論するようにしましょう。「難民」は1951年の難民条約の定義によります。 【追記(1月31日)】 数日経って、各国の反応が公式サイトにも出てきています。比較すると、興味深いものがあります。
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2017.01.24. | ![]() |
判決文はこちら。表現は異なりますが、内容的には2016年11月3日の高等法院判決とほぼ同様です。判決文のどのパラグラフにどのようなことが書かれているかは、プレスサマリーに簡潔に示されていますのでそちらをご覧下さい。 見逃してはならないのは、スコットランド議会・ウェールズ議会・北アイルランド議会のいずれにもBrexit通告への拒否権はないとされた箇所です(パラ150)。 |
2017.01.20. | ![]() |
大統領選挙後の混乱を収拾するために(だと思いますが)、西アフリカ経済共同体(ECOWAS/CEDEAO)がガンビアに平和維持部隊を派遣しました。ECOWASのウェブサイトには詳しいことは書かれていませんが(今のところフランス語ページにのみ記事あり)、民主的選挙の結果尊重に関する協力を定める改正ECOWAS条約58条、および、一定の場合に軍事介入を認める1999年の議定書 (Protocol relating to the mechanism for conflict prevention, management, resolution, peace-keeping and security - Google等で検索してみて下さい)および2001年の良き統治に関する議定書に基づくものと思われます。国連安保理は、2007年最初の決議2337 (2017)によりECOWASの活動を支持するとしていますが、決議文に軍事活動についての言及はなく、この決議は憲章7章下の決議でもありません。 報道によれば、ガンビアの前大統領は出国したとのことです。 |
2017.01.20. | ![]() |
ホワイトハウスのウェブサイトに"withdrawing from the Trans-Pacific Partnership"と明記されています。もっとも、米は署名しかしていないのでwithdrawという表現は不適切で、おそらくはICC規程に対してと同じような措置が執られるものと思われます(参照、2016年11月16日の記事)。 【追記(1月24日)】大統領メモランダム(1月23日付)はこちら。それによれば"withdraw the United States as a signatory to the Trans-Pacific Partnership (TPP), to permanently withdraw the United States from TPP negotiations"という表現が用いられていますが、これは国内の文書であって、寄託者たるニュージーランド政府あるいは全署名国宛にどのような文言で通知されるかはまだわかりません。 【追記(1月31日)】 USTRのウェブサイトに、ニュージーランド宛の書簡が掲載されました。やはり、ICC規程の場合と同じような文言になっています。 |
2017.01.16. | ![]() |
2016年12月22日の仲裁に続き、今度はICJに提訴しました。ジョージア対ロシアと類似の申立内容になっているようです。ロシアは、不出廷とするかどうか今のところ明言していません。 |