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神戸大学法学部 2006年度前期
外国書講読(仏書)
○授業のテーマと目標
法律・政治に関するフランス語のテキストを用い、フランス語で書かれた文章を正確に理解することを目標とする。
○授業内容の要旨と授業計画
テキストの朗読・翻訳を行い、内容につき議論する。
○教科書・参考書
ヨーロッパ統合に関するLe Monde紙の最近の記事・論説。
“Plombier polonais”(ポーランド人配管工)という言葉を耳にしたことがあるだろうか。EU拡大によって中東欧諸国(の一部)がEUに取り込まれたことにより、安価な労働力が西欧諸国に流れ込み、西欧諸国における失業率を押し上げるのではないか、という西欧市民の懸念を象徴的に表現する言葉である。“Plombier polonais”は、2005年5月・6月のフランス・オランダ国民投票における「欧州憲法条約」批准否決の原動力となった(特にフランスにおいて)。本講読では、“plombier polonais”に関する記事・論説を読み解くことにより、ヨーロッパ統合が現在直面している問題を理解することを目指す。
Le Monde紙は、世界的に著名ないわゆる「高級紙」である。したがって、内容はもちろんフランス語の水準もそれなりに骨のあるものだが、将来国際舞台での活躍を希望するのなら、この水準のフランス語が読めるようにならなければならない。とはいえ、所詮は「新聞」なので、おそれる必要はない。
○履修上の注意
この外国書講読は大学院と共通の講義ではなく、学部生向けである。2年次(2005年度入学)生も受講可。
フランス語を全く学習したことのない者であっても、これを機に集中的に修得する意欲と覚悟があるならば、参加を歓迎する。フランス語の勉強のしかた、その他一般的な参考文献などについては、フランス語FAQを参照していただきたい。
逆に、フランス語にかなり自信がある学部生は、大学院の「フランス法文献研究」に出席しても構わない。ただし、当然ながら、その場合に単位は取得できない。
なお、テキストの読解には、ヨーロッパ連合(EU)に関する一定の理解が必要となる。これまでにEU関連の講義を履修したことがない者は、前期に経済学部で開講される「特殊講義・ヨーロッパ経済論」(久保広正教授(M本も一部担当)・火曜3限。講義内容はEU入門であり、EUについて学んだことのない者を対象に、法・政治・経済の各側面からEUの制度・機能に関する基本的事項を扱う)を並行して履修することが望ましい。
○成績評価方法
授業への貢献度およびレポート
○オフィスアワー
開講時に指示する。
○ 学生へのメッセージ
日本では、外国語といえば英語である。では、フランス語を学ぶ意味は、とりわけ法・政治の文章をフランス語で読む意味は、何か。
フランス語が依然として英語に次ぐ「国際語」であること、欧州連合はもとより国際連合諸機関においても作業言語として枢要な地位を占めていることも、その理由の一つではある。しかし、フランス語を学ぶ最大の意味は、「フランス語の文章ならではの『ものの見方』に触れることができる」ということに尽きる。英語の文章しか読めないようでは、偏った情報しか手にすることができず、偏った判断しかできない(英語すら読めないようでは、そもそも話にならない)。本講義では、フランス語圏を代表するメディアであるLe Monde紙を読み解くことを通じて、フランス語の文章独特の「ものの見方」に触れてみたい。