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神戸大学法学部 2004年度前期

国際法概論

講義の概要(変更の可能性あり)


○授業のテーマと目標
 国家間関係を中心とする国際関係を規律する法である国際法の基本的問題を取り扱う。国内法とは異なる論理を持つ国際法を学ぶことによって「法」に対する理解を深めること、および、国際関係を法的に理解すること、を主たる目標とする。
 本講義は、国際紛争と法・国際機構法・国際通商と法などの科目を学ぶ前提となる。

 

○授業内容の要旨と授業計画
  1.国際社会の法的特徴
  2.国際法の主体としての国家
  3.国際関係を規律する基本的諸原則
  4.国際法の形成 慣習法
  5.国際法の形成 条約
  6.国内法秩序における国際法の適用
  7.国際責任
  8.紛争処理制度
  9.国際法の実施・執行 対国家
 10.国際法の実施・執行 対個人
 11.武力行使禁止と安全保障
 12.武力紛争法(戦争法・国際人道法)
 13.国際人権保障
 14.環境保護

 

○教科書・参考書

  教科書3点

  1. Antonio Cassese, International Law, Oxford University Press, 2001.
  2. 条約集(『解説条約集』(三省堂)、『国際条約集』(有斐閣)、『ベーシック条約集』(東信堂)、Malcolm D. Evans, Blackstone's International Law Documents, Oxford University Press, 6th ed., 2003.のいずれか。)
  3. 田畑茂二郎ほか『判例国際法』(東信堂)

  その他、初回講義にて指示する。

 

○履修上の注意
 事前に読んでおくべき教科書の範囲・参考文献を毎回指定する。きちんと予習してくることを前提に講義を行うことに留意されたい。
 なお、初回講義の予習課題は、3月中に法学部掲示板に掲示するとともに、このホームページにも掲載する。
    掲載しました

 

○成績評価方法 期末試験・平常点・レポート
 期末試験。なお、自由参加の中間試験を行い、中間試験で高得点を得た場合、期末試験の成績に加算する。

 

○オフィスアワー
 特に設けない。講義前後に質問してもいいし、e-mailで事前連絡の上研究室に来てもらっても構わない。

 

○ 学生へのメッセージ
 この講義では、英語の教科書を用いる。イタリアの大学に勤務するイタリア人が書いた教科書であることから判るように、英語の国際法教科書を用いているのは英語圏の国だけではない。国際法を学ぶ上で、英語を読みこなすことは必須である。

 考えてみれば、自然科学系の学部で英語の教科書を用いるのは当たり前のことだし、経済・経営系学部や人文系の学部でも、もはや例外ではない。法学部は、英語の教科書を使わない特異な学部なのである。英語を使いこなすことがもはや最低条件となっている現代において、せめて、「読む」ことぐらいは苦にしないようになってほしいし、今苦しんでおかなければ将来もっと苦しむ羽目になる。

 とはいえ、最初はとてつもなく難しく、一つの章を読むのに数日かかる人も少なくないだろう。しかし、神戸大学の入試と同じレヴェルの英語である。毎日根気よく続けていれば、学期終了時にはその苦難が嘘のように速く読みこなせるようになっているはずだ。その苦難を少しでも和らげるために、詳細な予習ガイドを事前に配布し、教科書を読み解く手助けとする。

 もちろん、これは英語の授業ではなく、国際法の講義である。現代の国際法学界の先頭を走るCasseseが高度な内容を初学者向けに平易な英語で書き下ろしたこの素晴らしい教科書を読み解きながら、国内法とは違う論理で動く国際法を理解することにより、法に対するものの見方を深めていこう。