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2002年度外国書講読(仏書)
この講義は、2001年度入学生も受講することができます
授業科目 外国書講読(仏書)
担当教官 助教授 M本 正太郎
開講期等 前期 2単位 月曜4限
授業のテーマと目標
法律・政治に関するフランス語のテキストを用い、フランス語で書かれた文章を正確に理解することを目標とする。
授業内容の要旨と授業計画
2001年9月11日の連続テロ事件とそれに引き続くアフガニスタン空爆、NATOによるコソヴォ空爆、地球温暖化と京都議定書、パレスティナ紛争、ユーロ導入などの最近の国際問題に関するフランス語の文章を読み、これら問題についての理解を深めるとともに、フランス語のメディア(学術論文、新聞、雑誌、テレビなど)でこの種の問題がどのように語られているか、そこに「フランス的」なるものを見て取ることができるのか、を考えていく。
読むだけではフランス語能力の上達はおぼつかないので、ビデオ教材等を用いた聴き取り訓練もしてみたい。
教科書・参考書
Le Monde, La Libération, Le Figaro, Le Monde diplomatiqueといった新聞や専門紙を手始めに、参加者の水準によっては平易な学術論文にも挑戦してみたい。いずれも講義中に配布する。
履修上の注意
これまでは大学院と共通の講義であったが、本年度からは分離し、この講義は学部生向けとする。
フランス語を全く学習したことのない者であっても、これを機に習得する意欲があるならば、参加を歓迎する。フランス語の勉強のしかたはこちら、翻訳に関する一般的な参考文献についてはこちらを参照していただきたい。
成績評価方法
平常点およびごく簡単なレポート
学生へのメッセージ
現在、国際共通語といえば、まずは英語である。英語が十分に使いこなせなければ、これからの世の中、全く使い物にならない。その中で、あえてフランス語を学ぶ意義は何か。
まず第一に、きわめて世俗的な理由が挙げられる。今や猫も杓子も英語ができるという時代になりつつあり、英語ができるというのは最低条件にすぎず、長所とはもはや言えない。他人と差を付けるなら、「英語+α」である。
では、数ある外国語の中でフランス語を学ぶ利点は何か。まず、フランス語は、かつてほどの影響力はないとはいえやはり有力な国際語である。国際公務員(国連職員など)をめざすなら、英語・フランス語の両方ができることが最低条件となる。実際、ヨーロッパでは、「英語・フランス語で同時通訳なし」という会議は頻繁に開かれるのである。ヨーロッパ統合問題を理解する際に、あるいはアフリカの民族紛争を理解する際に、はたまた中東紛争の歴史を振り返る場合に、フランス語が読めなければ話にならない。
しかし、最も重要なのは、フランス語を学ぶことにより、「もう一つのものの見方」を獲得することである。日本では、国際問題の理解にあたっては英語メディアからの情報に完全に依拠してしまうことが少なくなく、そのために知らず知らずのうちにきわめて偏った観点から物事を眺めてしまっていることが稀でない(最近の例で言えば、ユーロ導入に関して日本が犯した大きな間違いの原因がこれだ、としばしば指摘されている)。日本のメディアが英語メディアに依存しているのだから、英語が読めて英語メディアに自力で取り組むとしても、問題の解決にはならない。そこで、英語メディア――とりわけ英米のメディア――とは時に全く異なる観点からの分析を行うフランス語メディアの検討が有意義なのである。実際、イギリスにおいても、「英語だけでは視野が狭くなってしまう」との反省が強まり、外国語教育(つまり英語以外の言語の教育)の重要性が再認識されつつあるところである。
日本では英語を学ぶことが国民的至上命題となっているようだが、外国を見てみれば、5・6カ国語を使いこなす人はごろごろしている。せっかく大学でフランス語を学びはじめたのであれば、あるいはもしもう一つ別の言語に挑戦してみようという気になるのであれば、この講義を踏み台にさらに一歩進んでほしい。