2015年度前期 演習(国際機構法)

ゼミの概要

ゼミの記録

法学部教務掛前にて閲覧に供されている概要と同文です(ゼミ説明会の日時場所のみ追加)

4月までにしておくべき英語の準備について12月3日掲載

追記(2014年2月13日(金))

ゼミに参加する学生(オブザーバー含む)は、ゼミ開始(4月10日(金))までに、上の「4月までにしておくべき英語の準備について」に加えて、以下の準備を済ませてきてください。

1.国際投資法の予習

まずは、

  • 酒井啓亘(ほか)『国際法』(有斐閣、2011年)第5編第1章第3節

を読んで基礎を押さえてください。その上で、

を読み、具体的にどのような紛争がどのような形で生じるのかを理解してください。ゼミ開始までに、連載事例の全てに目を通してきてください。まだ何も学んでいない現段階で内容を深く理解するのは無理ですが、どういう事例があるのかだけでも知っておいてください。

これら仲裁判断例の要約と解説とを読んでいくと、知らない概念や用語に頻繁に出会うことと思います。上記の教科書を見て疑問を解決しておいてください。さらに詳しく知りたい場合には、以下が役に立ちます。

 

2. 条約読み

 日本が署名した直近の投資条約である日・ウルグアイ条約を最初から最後まで(附属書も)読んできてください。条約末文に記されているように解釈正文は英文ですので、英語版を(自信がない人は日本語版と照らし合わせながら)読んできてください。様々な専門用語を押さえておく必要があります。

 

3. 昨年の書面読み

 昨年の京大チームがアジア・太平洋予選に提出した書面に目を通してきて下さい。申立人(Claimant)被申立国(Respondent)それぞれの"Hackworth.pdf"で、Respondentの京大提出書面は1位を獲得したものです。昨年の問題を読んでからでないと内容は理解できないので、どういうスタイルの文章を作成することが期待されているのかを把握すればそれで十分です。

 

4. 過去の弁論の視聴

 過去の弁論を動画で見て、手続の進行や雰囲気、さらには求められる英語の水準などをつかんで下さい。これも過去の問題を読んでからでないと内容は理解できないので、どういうスタイルなのかを把握しておけばとりあえず結構です。

 

5. 今年の問題読み

 2月20日(金)に発表の予定です。十分に内容を理解してくることは無理でしょうが、最初から最後まで必ず目を通して、理解する努力はして下さい。少なくとも、紛争の事実関係について、いつ・誰が・どこで・何をしたかはまとめてきておいてください。初回のゼミでは、全員が問題を読んできていることを前提に議論を進めます。

 


科目

国際機構法
担当教員 M本正太郎
曜日
演習題目 模擬投資仲裁(FDI Moot)
演習の概要・目的 FDI Mootは、世界数十カ国から学生が参加し、ある架空の事例について立論および弁論技術を競う模擬仲裁大会である。それへの準備および参加を通じて、関連法分野の理解を深めることはもとより、職業上の議論を英語で行う能力、および、チームで一つのプロジェクトを実現する力を身につける。最先端の問題を扱う研究者、国際舞台で活躍する実務法曹、海外展開を行う企業の法務担当などを目指す学生にとって、理想的な職業訓練の場である。
到達目標
  • 企業と国家との国境を越えた関係を規律する国際投資法の基礎を理解する。
  • 法的な議論を英語で遂行することができるようになる。
  • 専門的内容のリサーチを網羅的に行うことができるようになる。
計画と内容

8月末に韓国にて開催予定のアジア・太平洋予選を目指して準備を進める。FDI Mootの問題(与えられる架空の事例)分析を進め、並行して英語での議論能力の養成に努める。そして、アジア・太平洋予選提出のための書類を作成し、予選に向けて英語での口頭弁論の練習を繰り返す。予選を勝ち抜けば、旅費等の補助を受けて世界大会(10月・ロンドン)に参加することになる。

ゼミは基本的に日本語で実施するが、必要に応じて英語での議論も取り入れる。2014年度は学生の自主性を最重視してゼミを運営した結果、一定の成果も得られたが、課題も多く残った。2015年度は、教員(M本)からのサポートをやや手厚めに提供することとする。

履修要件

国際法第一部を履修済みであることが望ましく、国際法第二部も履修済みであるかゼミと並行して履修することを強く勧めるが、いずれも要件とはしない。

FDI Mootは国際投資法の大会であるが、参加者は現時点において国際投資法について知識を一切持っていなくても何ら問題ない。

読む資料も、作成する書面も、弁論も、ほぼすべて英語である。京大の入試を突破してきた学生であれば、現時点で英語を全く話すことができずとも、死にものぐるいでやれば十分に間に合う。履修要件があるとすれば、その覚悟を持つことである。

合否判定方法 平常点による。
授業外学習(予習・復習) ゼミ開始の4月までに、国際投資法の基礎を押さえておくこと、および、ある程度英語で議論できるようになっておくことを求める。前者については、国際投資法について何も知らない者を対象とする予習課題を期末試験終了後(2月)に示す。英語については、英語が得意な者は自分なりの方法で準備を進めておけば十分であり、得意でないと自覚する学生向けには、4月までにしておくべき準備について12月3日(水)12時10分からの説明会(北館3演)で説明すると共に、M本のウェブサイトにも掲載する(下記)。
その他の特記事項

このゼミは、日本一になる(である)ことでは飽き足りない学生向けである。世界の場で同世代の学生たちと知的な真剣勝負をしてみたい、あるいは、将来どの道に進むにせよ世界レヴェルで通用するプロになりたい、という者を歓迎する。世界レヴェルでの真剣勝負に挑戦する意欲と覚悟とがあるのであれば、現時点においてどの程度の英語能力があるか、これまでに国際機構法・国際法を学んでいるかどうか、模擬裁判経験があるかどうかは一切問わない。

ゼミではそのための努力が求められる。模擬仲裁はチーム競技であり、ゼミ生それぞれが世界で通用する「個」の力を身につけるよう徹底的な訓練を自己に課すと共に、チーム全体で成果を出すためのプロジェクト・マネージメント能力を鍛えることも必要となる。世界トップレヴェルで活躍するスポーツ選手や芸術家を(誰でも構わない)想像されたい。その彼・彼女と同じ程度の努力を、半年程度の間だけでも経験することを望む学生には、最高の場を提供する。

アジア太平洋予選は8月20日前後に開催される。ゼミ生は、大会出場メンバーに選抜されない者も含め、必ず予選に参加することとする。同じ問題に全力で取り組んだ「戦友」同士はすぐに仲良くなれる。世界規模での友人のネットワークを作りたい学生は、このゼミから多くのものを得るだろう。


英語の準備について(12月3日の説明会で話したことに少し付け加えたものです)

既に十分な実力を持っていると思う人は自分なりに準備しておけば結構ですが、自分には並の京大生の英語力しかないと自覚している人は、今から4月のゼミ開始まで、以下の訓練を重ねてきてください。

NHKの「実践ビジネス英語」を用います。以下の訓練のためには、マイ語学に登録してパソコンやスマートフォンで番組を聴けるようにしておく必要があります。

  1. まず、番組を最初から最後まで聴き、指示の通りに学ぶ。
     
  2. 番組のvignette (skit)を放送されているとおりに(同じスピード・発音・イントネーションで)読めるように訓練する。
  3. 読めるようになったら、シャドーイングをする。

慣れないうちは、これだけのために2時間はかかると思われます(もちろん、適宜休憩をしつつ、ですが)。それを、4月までに、番組15分+シャドーイング15分=30分で片付けられるようにしてきて下さい。それまでにはテキストを見ながらの朗読はしなくて良くなっているはずです。

外国語の訓練は、毎日繰り返さねばなりません。週末にまとめてではなく、毎日時間を作って下さい。「実践ビジネス英語」は週3回のみの放送ですから、足りない分は「攻略!英語リスニング」や「ニュースで英会話」で補って下さい。

「実践ビジネス英語」は難しすぎるという場合は、「基礎英語3」から始めても結構です。ただし、4月までには、「実践ビジネス英語」で上記の訓練をこなせるようになっていて下さい。

法学や法廷弁論に特有の英語表現は4月に入ってから学べば間に合いますので、4月時点では、ビジネス英語やニュースで使われる英語を普通に話せるようになっていれば十分です。それも大変だろうとは思いますが、がんばって下さい。