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神戸大学法学部 2003年度 夜間主・後期

(法学部配布の「授業要覧」に掲載されたものです。)

国際法

授業のテーマと目標

 国家間関係を中心とする国際関係を規律する法である国際法の基本的問題を取り扱う。

授業内容の要旨と授業計画

初回講義で詳細なシラバスを配布する。以下は概要である。

 はじめに なぜ国際法を学ぶのか

 T.国際社会の法的構造
   国際社会の構成員
     国家・国際機構・企業・NGO・個人……
   国際社会の空間秩序
     領土・領海・排他的経済水域・公海・宇宙空間……

 U.国際法の形成
   国際法の存在形式
     慣習法・条約・法の一般原則……
   国際法形成過程の特質

 V.国際法秩序の維持システム
   国際法の適用・執行
     国内平面での適用・執行
       国際法と国内法との関係
     国際平面での適用・執行
       国際責任
       紛争の平和的処理
   武力紛争への対応
     武力行使の禁止
       国連を中心とした安全保障制度
     武力行使の規制
       国際人道法

 W.国際共通利益の追求
   人権
   経済
   開発
   環境

教科書・参考書

教科書

 以下の3点は必携である。
 1.松井芳郎ほか『国際法 第4版』(有斐閣Sシリーズ、2002年)
 2.田畑茂二郎ほか編『判例国際法』(東信堂、2000年)
 3.条約集(『解説条約集』(三省堂)・『国際条約集』(有斐閣)・『ベーシック条約集』(東信堂)のいずれか。)

参考書

 開講時に参考文献を指示する。

履修上の注意

 ほぼ100%「対話型」の講義とする。つまり、講義時間のほとんど全てを質疑応答に費やす予定である。初回に配布する詳細なシラバスによって毎回の予習課題を明示し、学生は全員その予習課題をこなしているという前提で「対話型」講義を行う。

 なお、初回講義の予習課題は本ホームページおよび学部掲示板に掲示する。

成績評価方法

 成績評価は、
 1.レポート3本
 2.講義中の質疑応答
 3.期末試験(口頭試験)
により行う。

 うち、合否は「1.」および「2.」のそれぞれを50%ずつ考慮して判断する(ただし、期末試験を受験しない者は成績評価の対象としない)。「優・良・可」の評価は、「1.」25%・「2.」25%・「3.」50%の比重で行う。

 3本のレポートは、いずれも同一のテーマ(受講者が自ら選択する)につき、教官のアドヴァイスを受けつつ作成する。最初の2本は、そのテーマに関する論文や裁判例を要約するごく簡単で短いもの、最後の1本はそのテーマについて自分なりの意見を述べるある程度骨のあるものを作成する。詳細については初回講義で説明する。

 講義中の質疑応答は、減点法でなく加点法で評価する。ただし、指名された際に不在の場合は減点とする。

学生へのメッセージ

 国際法は、イラク攻撃・テロ対策・パレスティナの混乱・拉致問題などさまざまな国際問題を理解するための基礎となる。また、国内法とは全く異なる論理で動く国際法を学ぶことにより、法に対するより広い視野を養うことができる。日々新たに発生する現実の問題を手がかりにしつつ、現実を法的にとらえる訓練をしていこう。

 今回は、
 ・ほぼ100%「対話型」とする
 ・「一発勝負型」の成績評価をしない
 ・十分に「理解」し、理解したことを「文章」および「口頭」の両方で適切に表現する能力を鍛える
という新たな試みを行う。負担は軽くないだろうが、最後までついてきた人は確実に合格できるようにするし、なにより、国際法に関する深い理解が獲得できることは保障する。