2000年度後期 外国書講読(フランス語)・フランス法文献研究
アンケート
実施 講義終了後、質問事項を受講者にe-mailで送付し、回答してもらった。無記名。
1.この講義に出席しようと思った動機・目的
- フランス語を読めるようになりたかったからです。使用されるテキストが国際法に関係あるということで、自分の専門に関係のある文章を読めるというのも講義を受けようと思った理由でした。
- まともに仏語の講読に取り組んだことがなかったので。
- 翻訳の訓練のため。
- フランス語の文献を読めるようになりたいと思ったことと、文献の内容に興味がありました。
- フランス語を勉強していたので、その継続のため。単位を取得できるから。
- フランス語のスキルを向上させるため。
- 国際法を今後の研究対象としていく上で、必要と考えられるため。
- 私は、学部の時に、フランス語を第2外国語としては学びませんでした。このままではフランス語の文献を避け続けることになるのではないか、と勉強を始めなければとの思いがあったのですが、なかなか一人で学習を継続することができませんでした。そこで、この授業に参加することでフランス語を学習する時間を強制的に作り、フランス語の法律文献を読む訓練をしようと思ったことが、この講義に参加した動機であり目的です。また、法哲学に関連するような文献を扱うということがわかったから、ということも動機としてあげられます。
- フランス語学習の強制の契機を得るため。
2.テキスト(Virally, Dupuy)の選択について
2−1.フランス語の難易度は適切か
- いずれも、やや難。
- 難しいと思いました。
- やや難しかったが、チャレンジするかいはあった。
- 非常に難しいものであったが、この先のことを考えると、このくらいの文章にあたっておくことは、望ましいことだと思う。
- 適切。それほど難易度が高かったとは思いませんが、学部生もいることを思えば、もう少し簡単なものにしたら、文法についてだけでなく内容についても議論できたかもしれないと思います。
- 最低これぐらいは必要だと思います。ただし、専門用語・法律用語などでかなり時間と費用を使ってしまったので、通常の辞書に載ってないような単語、イディオムはあらかじめ注のようなものがあった方がよいと思います。単語調べも大切なのはもっともなのですが、本講義ではその点にはあまり重きをおかなくてもよいのでは? 初学者も居ましたし……。
- 適切だと思います。
2−2.内容の難易度は適切か
- 内容は難しかったのですが、難しかったからこそ、自分一人で読んでも理解が難しい文章をクラスで読んでいく意味があるので、適切だったと思います。また、先生の説明によって理解が深まり、その点を勘案しても適切だったと思います。ただ、国際法専攻の学生(とくに院生)にとっては、今回選択されたテキストは適切だったと思いますが、もしかすると、学部生には難しかったかもしれません。
- だいたいよかったと思います。
- 適切。
- 先生の解説もあったので、少々難しいものであったが、適切であった。
- 個人的フランス語能力に対して若干難易度は高かった。
- 難しすぎると思いました。というより私自身が前半のテキスト法社会学に興味を持つことができませんでした。
- いずれも、やや難。
2−3.学生にとって、どのような内容の文章が望ましいか。
- この授業は大学院生のための授業という印象があったのでこれでよいのではないかと思いましたが、私は国際関係の記事がよいと思いました。
- 教官の独断でよいと思う。
- 正直わかりません。生徒の学問的嗜好には個人差があるので。
- 一つの分野というよりも、今回のように大きなテーマを取り上げていただくとありがたい。
- 誰にとっても有益なもの。その点、今回の文献は法学専攻の学生にとって非常によかったです。
- 仏語圏の法学部の学生がテキストとして使用しているものはどうでしょうか。
- 内容が例えば人権、経済、環境といった一定の分野のみを扱うものではなく、法全般に関するものであったことも、学生の研究内容のばらつきからして、よかったと思います。また、Dupuy先生の新しい論文は、国際法の一権威であられる先生が、現在のインターネット世界をどうとらえていらっしゃるかという内容で、おもしろかったです。
- (2−1から2−3までまとめて回答)まず、Virallyについて。私自身は、法哲学に興味を持っていたので、参考文献にあげられていた『法理学講義」や『法哲学綱要』も以前に読んだことがあったのですが、フランス語では内容を理解することがかなり困難でした。他の学生の訳を事前に読むことが文の構造を理解する助けにはなりましたが、それだけでは文の意味している正確な内容はわかりませんでした。講義で先生の解説を聞くとようやく理解できる、といった程度でした。次に、Dupuyについて。内容が国際法だったので、意味を推測しやすかったこともあり、Virallyに比べれば理解できました。(授業の後半になって、少しはフランス語の文章構造になれてきた、ということもあるかもしれないですが。)授業で使った二つのテキストを比べる限りでは、法哲学のような抽象的な議論についてフランス語で読むのは、かなり難しかったといえます。もし、受講生が大学院生だけであって、関心分野がある程度共通していたら、分野をもう少し絞った方が集中して勉強できるような気がします。そうすれば、関連する日本語の文献を探すことも可能であるし、それを頼りにフランス語のテキストを読めば、少しは容易に読みすすめられるのではないかと思います。(フランス語を始めたばかりの者にとっては、難易度が上がるだけかもしれませんが。)しかし、学部生もいて、専門分野も違うということであれば、たしかに法哲学のように共通の学習基盤となるようなものを扱うほうが良いのかもしれません。「どのような内容がふさわしいか」は、受講生の関心が主にどこにあるかによるのではないでしょうか。
3.講義の進め方について
3−1.まず学生にコメントを求めるやり方は適切か。
- 発言する人としない人の差が歴然としていたので、ある程度強制的にコメントさせる場を用意した方がよかったかもしれません(指名するとか)。わからない者はおいといてどんどん先に進むというやり方もあるのでしょうが、少人数なのだし全員が何らかの形で発言できるようにした方が、緊張感も生まれるし、お互いのレベルを知ることもできるという点で良いと思います。
- 予習を促す点で適切ですが、返答がない場合には、先にどんどん進められても良かったかと思います。
- 先生のやり方は適切でした。こちらからコメントが少なかったこと、反応が遅かったこと(沈黙の時間が長いこと)については、反省しています。
- 適切だと思います。ただ、私はこの講義でフランス語の勉強を始めたので、正直なところ、他の学生の訳にコメントできるほど語学力がついていけず、講義態度は受動的だったと思います。しかし、自分の担当訳について、「どういう意図でこのように訳したか?」ということを、(先生はもちろん)たくさんの学生に質問されるということが、私にとってはいい勉強になっていました。
- 適切だと思う。
- はい。
- 適切と思う。
- 適切である。
3−2.どのようなやり方がほかに考えられるか。
- 教官が一方的に授業を進めるマスプロにありがちな手法。
- 指名する。緊張感が持てます。
- 特にないが、初学者にとってはコメントを述べることは困難であったので、自分のわからなかったところについて質問をできればよいと思った。しかし、ある程度の語学力のある方にとっては、時間の無駄とも考えられる。
- 一つの範囲を複数が担当し、比較する。比較することで理解が深まることもある。
- 現行の方法でもっと範囲を短くする。コメントがしやすい。
- 他の学生がコメントする前に、担当者が何らかのプレゼンテーションをする。
- 特にないです。授業の前の訳の配布、逐語訳、訳の前に文章を読む、というのは語学の勉強をする上でよかったです。内容について背景知識の説明があったのもよかったです。
3−3.1時限分延長したのはどうか。
- 4時限目は原則的に自由参加ということだったのですが、初めに聞いたとき、時間がとられて大変だなぁ、という印象でした。結果的に2本論文を読めてよかったのですが、4時限目の最後の方は頭もぼーっとしてくるので、3時限目だけにし、1学期間で1本の論文をじっくり読むというのでもいいかと思います。それでも最後の方に時間が足りなくなれば、そのときに時間を延長したり、補講をされたりで対応されればいいかと思います。
- 時間延長そのものは良かったのですが、同じテキストをぶっ通しはやや辛かったです。また4限(後半)は出席義務がなく、担当者が不在になる場面が見受けられましたが、これは改善の必要があると思います。
- 進展度を考えればやむを得ないと思います。
- 短時間でするより、時間をかけてしていただく方がよいので、延長は必要であると思う。
- やむをえないが、後半出られない生徒にとっては残念。
- 長すぎると思う。
- 延長自体は良かった。ただ、2限目の欠席者が担当部分の検討に参加できないのは、問題があった。これは、基本的には、学生の自治に委ねられた「担当範囲の割当」の問題であろう。もっとも、授業当日に次回の訳文を提出するという仕組みのもとでは、進捗状況の予測が難しいという面があると思う。つまり割り振りの時点で、2回先を予測しなければならないので、2限目欠席予定の学生を1限目の該当部分に正確に割り振ることが難しくなるのである。
- 後半の一時間は集中力が切れてきて大変だった、というのが正直なところです。たしかに、ある程度の長さの論文を扱うには、今期くらいの時間が確保されていないと、最後まで読み切ることはできないと思います。しかし、週あたりの時間で考えるなら、連続2コマで行うよりは、(中途半端なところで途切れることは多くなるかもしれないし、そういうことが可能なのかわかりませんが)週に2日などの方法の方が、能率的にはよいのではないかと思いました。
4.教官の説明について
4−1.教官の説明方法で、良かったのはどういう点か。
- 容易に説明してくれた。
- 文法、発音の重要事項を繰り返し指摘していただいた点が良かった。
- 一つの事項について広がりをもった説明をなされたこと。
- 基本から説明してくださったので、文法・文章の構造がよく分かった。
- 内容についての解説をある程度のまとまりごとに行ってくださったので、パラグラフごとに分けて読んでいても、内容がわかりやすかった。
- 文法に関する説明がとてもわかりやすかったです。文法書を見ればわかるようなことだけでなく、訳す上で参考になる、または考慮しなければならないような事柄をたくさん教えていただきました。
- 論文で示されている考え方の思想史的背景などを説明してくださったので、理解しやすかったです。折に触れて参考文献を示してくださったことも、理解を深める一助になりました。
- 一文を丁寧に解説していたので、文の構造の理解の助けとなった。
- 内容のまとめを頻繁にしてくださったのは、助けになりとてもよかったと思います。文法についても、(特に関係代名詞などは)折を見て何度か説明をしてくださったので、わかりやすかったと思います。
- 声が大きい。
- 一番最初の授業で配られた紙は、授業の進め方の全体構造がわかり、よかったです。授業中の説明も、まとめがあったり、背景知識の説明があったことが、文章の理解を助けてくれました。また、文法的な説明も、辞書に書かれていないような部分の説明もあり、役に立ちました。特に接続詞をどういうときに用いるか、その意味のニュアンスについての説明は、フランス語の文章の論理的構造を理解するのに役立ち、よかったです。
4−2.教官の説明方法で、改善すべきはどういう点か。
- 英語との比較が多すぎる。余計にややこしくなる場合あり。
- 時間が経つにつれ、テンションが下がる傾向が感じられた。もう少しペース配分を工夫してみてはいかがでしょうか。授業にはメリハリが大切だと日頃から感じているので。
- 私は非常に満足しているので特にありませんが、コメントが少なかったことを思えば、おそらく、先生の話し方を怖いと感じる人がいるのかもしれません。でも、それは別に先生にとって「改善すべき点」ではないです。
- より平易な事例や言葉を使っての説明。
- 大学院生・学部生というある程度自主性をもった集まりの勉強会ですが、先生の干渉の度合いがやや少なすぎるように思われました。また学生の自主性をかなり重視していたため私のような不真面目な学生が予習がおろそかになり授業にまともに取り組めない事態が生じてしまいました。もちろん私の方にほぼ原因があるので……。
5.レポートについて。
注 学部生には、「期末試験か、短いフランス語文章(分野は問わない)の全訳を2回提出するか」を選択させ、結果的に全員が「短文全訳」を選択した。民法の文章を選んだ者、社会学の本に取り組んだ者、新聞記事を訳した者、いろいろであった。大学院生には、「毎月自分で論文を1本選び、その要約を提出する(計4つのレポート)。それが無理ならば、自分で選ぶ文章の一部(毎月1ページ程度)の全訳でも構わない」と指示した。かなりの大学院生がレポートを提出せずに終わっている。
5−1.課題の内容は適切か。
- 適切である。
- はい。
- それぞれの関心あるテーマに沿ったものが選択できるので、適切であった。
- 課題の内容は個人の選択に任せてくださったし、選べない場合には相談に乗ってくださいましたので、何も問題はなかったと思います。
- 法学部なので仕様ないですが、もう少し選択肢を広げてもらえると有難かったです。結局、期間中には読みたいテーマのものが読めなかった。
- 適切だと思います。レポートに関して、テスト、または全訳あるいは要約とを学生に選択させた点でも、自分のレベルに合わせた選択肢が広がりよかったと思います。また、学生が自分で適切な論文を選べない場合に、先生が適切なものを選んできてくださるのもよかったと思います。
- 私は全文要約を選んだのですが、内容は興味のあった分野でしたし、量もほぼ適切だったと思います。いつも真っ赤なレポートが返ってきて、自分のフランス語能力のなさだけでなく、日本語能力のなさも痛感しましたが、先生が丁寧に採点してくださるということが、学習の励みになっていました。
5−2.課題の量は適切か。
- もう少し多くても良いと思います。
- 多すぎることはないと思いますが、実際にレポートがあまり提出されていないというのは、単位を取る必要がない(したがって成績をつけられることのない)院生にとっては、4回レポートをだすインセンティブが低いからだと思います。私個人としては、レポートが自分の研究分野の論文から選んでよかったことから、また先生の添削により、読んだ文章の理解が確認できることから、慣れないフランス語の論文を読むことができ、大変よかったと思っています。また、10月半ばからクラスが始まりましたので、10月中にレポートを既に1本、というのはきつかったです(実際、遅れて提出したのですが……)そうやって、一度提出が遅れると、その後のレポートも提出が遅れがちになり、結局課題をこなせなくなりがちですので、レポートの回数が11月、12月、1月の3回だったら遅れることなく提出可能な学生が増えたのではないでしょうか。しかしながら、課題の量を多いと感じるかどうかは、普段の授業の予習すべき量との兼ね合いがある部分もあるかと思われます。もし次回の講義で1時限延長されない(したがって学生ひとりひとりの担当部分訳の量が全体的に減る)ならば、レポートが4回でもそれほど多いとは感じないかもしれません。
- 結局、あまり量を気にせずに提出させていただいたので、適切だったかどうかわかりません。
- 週8コマの授業および発表をこなしながらのレポートは、大変であったが、できない量ではなかった。レポートについては、各自文献は自分で選択できるので、量的な問題はないのではないか。
- はい。
- 適切である。
- 提出回数は、もう少し多くてもこなせたような気がします。
5−3.どのようなやり方がほかに考えられるか。
- 授業で使ったテキストの内容を深めるため、それに関連した文献を教官が指定し、レポートにする。
- 毎月締切を厳格にしたらどうでしょうか。もちろん、本来のあるべき形ではないかもしれませんが、提出状況がよくなかったようなので、それは、先生にとっても負担が大きいし、学生にとっても勉強にならないので。
- 読解に重点を置いたもの(résuméなど)と「翻訳」の2パターンにする。
6.その他、何でも思いついたことを。
- 3回に1回くらいの割合で小テストをするというのは如何でしょう。後でまとめて一気に課題に取り組むことの弊害(途中何もしないなど)が避けられるし、学生の評価の一助にもなると思います。
- 講義の進め方について提案。前半は論文(など)を分担して訳するという従来通りの方法で、後半は読み切り形式で、短めの文章(Le
Mondeの記事や条約の仏語バージョン、インターネットからめぼしいサイトをダウンロードする……など)。テーマも国際法に限らず取っつきやすいもの(時事問題分野か、スポーツなどもいいかも)で、できればフランス以外で作成されたものもときどき入れる。考えられるメリット=後半出席できない場合でも、必修のテキストは通読でき、その分確実に理解できる。多くのテーマやあらゆるタイプの文を見ることができる。中だるみと疲れを防止できる。
- 全体的に、先生の工夫と熱意(と忍耐!?)が伝わるとてもよい授業でした。また同じような授業があれば、取りたいと思います。特に、レポートに対する丁寧な添削は、なかなかほかの授業にはないもので、とても有難く思いました。
- 非常によい勉強になりました。内容がおもしろかったのはもちろんなのですが、特に今回は、日本語訳についての考え方が変わりました。初めに提示していただいた翻訳についての参考書を一冊読みました。それに加えて、毎週授業の中で訂正してくださったこと、レポートを細かくチェックしてくださったことから、正しく読み、理解して、自分で消化して、日本語にする、という一連の作業がすごくおもしろくなりました。学生と教官との間でリスポンスをし合って授業を進めていく、という感覚を知りました。正しいことを言おうとするのではなく、議論をすることが楽しいし重要だと改めて感じました。先生の姿勢に刺激を受けました。ありがとうございました。
- 講読する文献は、一般的かつ、より現代的な問題を扱ったもの、あるいは理論的問題と両方を同時に扱えるものの方が面白いかもしれないと思う。最後に、ご指導ありがとうございました。
- 大学院生の積極性におそれおののきしっかり予習していかなければと思わせられる授業でした。緊張感をある程度もって取り組むことができたのでよかったと思います。今後のフランス語の勉強に役立てていこうと思います。
- 思い切って受講してよかったです。ありがとうございました。
- このクラスが主に目的とするところとは違うかもしれないですが、毎回担当部分の発音をすることが求められたことは、よかったと思います。このおかげで、私は、ずっと身につかなかったフランス語を発音するときの感覚・リズム・規則になれることができました。来期以降もこの講義が開かれるならば、ぜひ参加したいと思います。