科目

国際機構やそれに類する組織の活動を、「国際」的あるいは「グローバル」な「行政」として把握する見方は、19世紀にすでに見られ、今日一層有力になりつつある。この講義は、その例となり得る国際機構（やそれに類する組織）の活動の実態を理解した上で、そのような活動を「国際」的あるいは「グローバル」な「行政」として把握することの意義を検討する。

いずれは国際公務員を目指したいと思っている者、外務省等の官庁を目指す者、JICA/JBIC等の国際協力機関を目指す者、国際NGOで活動したい者、およそ一般に「国際」に関心のある者を対象とする。

今年は、欧米の公共政策大学院や法科大学院で用いられている標準的な教科書に沿って講義を行う。当然ながら、講義資料は英語であり、レポート課題にも英語論文を読むことを課す。英語の文献資料を読解する能力を徹底的に鍛える場でもある。

国際機構（およびそれに類する組織）の活動の実態を理解する。

法的な観点から、それら国際機構がなす活動を理論的に把握する能力を身につける。

国際問題を扱う英語文献を日本語文献と大差ない速さ・正確さで読み解けるようになる。

教科書の次の章を基に議論する。受講生は、下の「授業外学習（予習・復習）等」欄に示した予習を行った上で参加する。各回ごとに担当者を決めるのではなく、毎回全員で議論をする。 初回から、十分な予習をした上で参加すること。

Chapter 1: The UN Charter

Chapter 2: Hard Cases

Chapter 3: Hard Choices

Chapter 4: Legal Status

Chapter 5: The Secretary-General and the Secretariat

Chapter 6: Membership

Chapter 7: Structure, Financing, and Administration

Chapter 10: Sanctions

Chapter 11: Sustainable Development

Chapter 12: Self-Determination and Democracy Promotion

Chapter 14: The Rule of Law and Transitional Justice

Chapter 15: Immunity and Responsibility

Chapter 16: Accountability in Practice

Chapter 17: Reform

レポート(50%)・期末試験(50%)。

レポートでは、講義に関連する英語論文1本を要約し、簡潔な評価を加える。対象とする論文の選び方は、講義において指示する。

Simon Chesterman, Ian Johnstone, David M. Malone, Law and Practice of the United Nations, 2nd ed., Oxford, Oxford University Press, 2016.　学外からも利用可。

• 最上敏樹『国際機構論講義』（岩波書店）
• 城山英明 『国際行政論』 (有斐閣)
• 福田耕治 『国際行政学［新版］』 (有斐閣)
• Snezana Trifunovska, The Law of International Organizations, Eleven.
• Benedetto Conforti & Carlo Focarelli, The Law and Practice of the United Nations, 5th ed., Nijhoff.
• Clemens A. Feinaeugle, The Rule of Law and Its Application to the United Nations, Hart Publishing.
• Nigel D. White, The Law of International Organisations, 3rd ed., Manchester University Press.
• José E. Alvarez, The Impact of International Organizations on International Law, Brill.
• Laurence Boisson de Chazournes, Interactions Between Regional and Universal Organizations: A Legal Perspective, Brill.

その他参考文献は、上記教科書に示してあるほか、講義中に随時紹介する。（リンクのないものも間もなく図書館で利用できるようになります。）

【予習】

教科書各章では、いくつかある節のそれぞれにおいて、まず簡単な解説と資料が掲載され、その後に"Questions"が示されている。予習では、教科書を読み、これらの"Questions"について自分なりの回答を用意してくること。自分なりの答えが見つからない場合、何がわからないのかをはっきりさせてくること。

【復習】

復習については特に指示しない。それぞれ自分なりの方法で復習されたい。

この講義は、上に示した予習を前提として、"Questions"について議論する。教室には、人の話を聞くためにではなく、議論に参加するために来て頂きたい。