神戸大学法学部　国際法概論　２００１年度　　　 　　　    ２００１年５月２９日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  助教授　�M本 正太郎

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　shotaro@rokkodai.kobe-u.ac.jp

試験問題例　９

　次回講義（６月１日）までに答案を添付ファイルで送信してくれれば、採点してお返しします。

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　次の架空の事実に基づき、問に答えよ。

 

　２００１月５月２８日、再処理済のプルトニウムを積み込んだ「ゆうひ丸」（日本船籍）がフランス、ラ・アーグ市にある核再処理工場（ＣＯＧＥＭＡ）から日本に向けて出港した。日本政府は、各国政府からの圧力を受け、日本までの航路を公表した。それによると、「ゆうひ丸」は、アフリカ南端・インド洋をとおり、マラッカ海峡を通過して日本に到着する予定である。

 

　これに対して、通過航路の沿岸諸国は一斉に抗議声明を発表した。ほぼ同一の内容を持つその声明の内容は、大要、「プルトニウム積載船は安全とは考えられず、我が国沿岸に多大な危険を及ぼすおそれがあるので、我が国領海の通過は認めない」というものである。

 

　日本の外務事務次官が、外務省法律顧問のあなたのところにやってきて、こう言った。「日本は、何とかして『ゆうひ丸』に無害通航権を認めてもらわねばならない。それを国際法上正当化する論理を組み立ててくれないか。ただし、例のソ連原潜の事故の時に、日本は核兵器搭載船には無害通航権は認められないとの立場をとっているので、それと矛盾しない論理でないと困る」。

 

　なお、本件関連諸国はすべて１９８２年国連海洋法条約の当事国である。

 

 

　問　事務次官の要請に応えて、法律顧問としての意見を述べよ。