2019年度後期 国際法第一部

概要

講義の記録(講義計画あり)

以下の概要はKULASISに掲載されているものと同一です。

講義の概要・目的

国際法第一部では、国際法の総論的部分と、国家管轄権の空間的配分・規制にかかわる部分を扱い、基本的に、正常な国際関係における国家の権利義務関係を概説することに力点を置く。上記分野に関連する国際法規則の内容を把握するとともに、その背景にある考え方及びその具体的な適用状況 について検討することが本講義の目的である。

到達目標

国内法との比較において国際法の特質を理解し、国際法の法源、国家をはじめとする国際法の主体、 国家領域などに関する基本的な知識を習得すること。

講義計画と内容

講義では概ね以下のような順序で各項目を取り扱うが、進度状況に応じて変更することがある。

第1部 導入・歴史(6回)
 ・国家なき世界
 ・ヨーロッパにおける主権国家の誕生
 ・東アジアにおける世界秩序観
 ・東アジアへのヨーロッパ国際法の導入
 ・国際法からみた日本の「近代化」
 ・イスラーム世界秩序観

第2部 国際社会構成員としての国家(4回)
 ・国家 国家承認・政府承認
 ・国家主権 「独立」「平等」の意味
 ・国家管轄権 行使の根拠
 ・国家管轄権からの免除 国家免除・外交特権免除

第3部 国際法の形成(4回)
 ・慣習法
 ・条約
 ・法の一般原則・単独行為
 ・総合的検討

前半のまとめ(1回)

第4部 国際社会における国内法と国内社会における国際法(4回)
 ・「国際法と国内法との関係」をめぐる論争
 ・国内法秩序における国際法
 ・国際法秩序における国内法
 ・国際法と国内法との融合? 「グローバル法」をめぐる議論

第5部 国際法による空間秩序規律(5回)
 ・領土 領域権原
 ・内水・領海
 ・大陸棚・排他的経済水域 海洋調査・境界画定
 ・公海・深海底・「国家管轄権外の区域」
 ・空・宇宙

第6部 共通利益実現のための国際法(5回)
 ・環境 地球環境問題の法的把握
 ・人権 人権の国際的保障
 ・人権 国内裁判手続における国際人権法の活用
 ・経済 通商 WTO・FTA/EPA
 ・経済 投資

全体のまとめ(1回)

履修要件
特になし。
成績評価の方法・基準
期末試験(110分)による。本講義で扱う分野に関連する国際法規則の内容を的確に把握し、その 背景にある考え方を理解しているかどうかを問う。
教科書

酒井啓亘・寺谷広司・西村弓・M本正太郎『国際法』(有斐閣、2011年)

参考書等

・薬師寺公夫ほか編集代表『判例国際法(第3版)』(東信堂、2019年)
・薬師寺公夫ほか編集代表『ベーシック条約集2019』(東信堂、2019年)

その他参考文献は、必要に応じて担当教員のウェブサイトに示す。

授業外学習(予習・復習)等

各回の予習課題の具体的指示は、担当教員のウェブサイト上で行う。教科書の該当範囲を示すと共 に、必要に応じて他の予習課題を示す。講義では、受講生は十分に予習してきていることを前提に、 具体的事例の検討を中心に行う。

予習・復習過程において生じた疑問につき議論・解決するための場をネット上に設ける。

その他

「国際」法であるので、講義では英語の資料も用いる。日本語の条約集と判例集の助けがあれば、 京大生が困ることはない。