2017年度後期 国際機構法

講義の記録

講義の概要

 講義計画(シラバス)(9月1日掲載)

 期末試験および講評(2月15日掲載)

10月3日

第1部 国際機構法の前提――「国際」関係という理解

1. ヨーロッパ・イスラーム世界における「国際」関係の理解

予習課題(9月15日掲載)

10月5日 2. 中華国際秩序 構造と構成単位間関係

予習課題(9月15日掲載) 以下のいずれかを読んでくること

10月10日 3. ヨーロッパ国際法との接触と東アジア秩序の変容

予習課題 以下のいずれかを読んでくること

10月12日 第2部 国際機構法萌芽期 1. 機構の初期形態 背景・機能・法的地位

予習課題

10月17日 2. 第一次世界大戦戦後処理

予習課題

10月19日 3. 機能しない国際連盟

予習課題

10月24日 4. 「大東亜共栄圏」構想

予習課題

10月26日 5. United Nationsの戦後構想

予習課題

11月7日 6. 国際連盟から国際連合へ

予習課題

11月9日 7. 国際機構法の誕生 国連損害賠償勧告的意見

予習課題

11月14日 第3部 国際機構法総論 1. 参加

予習課題

11月16日 2. 権限

予習課題

11月21日 3. 内部構造

予習課題 シラバスの予定を少し変更すると講義で言いましたが、この回は変更なしで、次回以降に変更を加えることとします。

12月5日 4. 意思決定手法/5. 規範定立

予習課題

12月7日 6. 規範内容実現

予習課題

12月12日 7. 国際機構の拘束的行為の国内法秩序における実施

予習課題

12月19日 8. 責任(1)――国際機構の責任

予習課題

12月21日 9. 責任(2)――国際機構に関する国家の責任

予習課題

12月26日 10. 紛争処理(1)――国際機構と構成国との紛争

予習課題

12月28日 11. 紛争処理(2)――国際機構と私人との紛争

予習課題

1月9日

12. 紛争処理(3)――国内法上の手続を利用する際の問題 免除

予習課題

1月11日 13. 脱退・消滅

予習課題

1月18日 14. 国際機構に類似する存在

予習課題


期末試験

 

期末試験講評

問1

 「と言われることがある」と書いてあるように、参考書に挙げた本の中にこう記述しているものがあります。もちろん、それを読んでそこの記述を憶えていた者が特に有利になるという種類の問題ではありません。講義中に何度も議論したところでもあります。

(a)

 多くの答案が適切に回答していました。理事会と総会それぞれの権限、意思決定手続、両者の関係、理事会の構成について議論していれば十分です。

(b)

 試験時に述べたように、結論はどちらでも結構です。(a)での議論を踏まえて整合的に主張を展開していれば評価しています。当然ながらと言うべきか、(b)の出来は(a)の出来にほぼ比例していました。

 

問2

 「講義で扱っていない事例を試験に出すが、その事例に関する予備知識は一切不要である」と講義でも試験の前にも述べていたところです。講義で議論した他の事例を考慮しつつ議論を展開することが求められます。

 残念ながら、問題文最終文の注記を見落としている答案が散見されました。「国際機構の免除より人権の方が重要だから」と述べてもこの問への回答にはなりません。

 破毀院判決に批判的な結論を採るならば、たとえば以下のような議論が可能です。

 逆に、肯定的な結論を採るならば、たとえば以下のような議論があり得るでしょう。

 

 なお、国際人権法を勉強していることをアピールする趣旨か、「市民的及び政治的権利に関する国際規約14条1項は刑事訴追にのみ言及しているが、判例法これが民法上の権利義務にも及んでいることは確認されている。」と書いた答案がありました。勉強していることは素晴らしいのですが、同項の関連部分の仏正文は

Toute personne a droit à ce que sa cause soit entendue équitablement et publiquement par un tribunal compétent, indépendant et impartial, établi par la loi, qui décidera soit du bien-fondé de toute accusation en matière pénale dirigée contre elle, soit des contestations sur ses droits et obligations de caractère civil.(強調M本)

となっていますので、「14条1項は刑事訴追にのみ言及している」というのは不正確で、「14条1項の英正文は刑事訴追にのみ言及しているとも読めるが、仏正文は民事手続をも明示的に対象としており、かつ、」と書く必要があります。14条1項を講義で論じる際にはこの英正文と仏正文との相違について必ず触れるのですが、この問題は国際機構法の範囲外ですので、今回の答案の評価に際しては考慮に入れていません。

以上