科目

　［法科大学院］

国境を越えた経済活動から生じる法的問題のうち、私法的側面については「国際取引法」で、公法的側面については「国際経済法」で学ぶ。「国際経済法」では、国際的経済活動の主たる分類にしたがって、通商・投資・金融の各分野においてどのような法規則・法制度が用いられているかを歴史的・理論的に理解すると共に、それをいかにして実務において活用するかを考える。

一国内で完結する経済活動を観念することが容易でない現在、国境を越える経済活動に対応することのできる法律家は世界中で求められている。世界標準で活動する実務法曹の役割とはどのようなものか、その一端を理解する。

［公共政策大学院］

公共政策大学院を出た後、国際法を扱う仕事をする機会があるとすれば、その多くは国際経済法に関するものである。この講義では、事例分析を中心に国際経済法が現実にどのように用いられているかを把握し、その現実の活用や実務をどのような理論が支えているのかを理解する。 「国際」経済法であるので、英語の資料も用いる。

通商および投資の各分野に関する国際法のあり方を理解し、具体的紛争において国際法をどのように用いるべきかを説明できるようになる。

国際経済法に関する英語の文献資料を読み解けるようになる。

第１部　通商

　１．GATTからWTOへ　WTOの機構的構造

　２．最恵国待遇・内国民待遇

　３．通商救済制度（セイフガード、アンチ・ダンピング）

　４．例外

　５．WTO紛争処理

　６．地域的通商条約との関係

　７．発展途上国の地位

第２部　投資

　１．外交的保護から投資条約仲裁までの経緯

　２．収用

　３．公正衡平待遇

　４．義務遵守条項

　５．投資条約仲裁（１）――投資家と投資財産の定義

　６．投資条約仲裁（２）――仲裁手続と執行

　７．投資条約仲裁（３）――批判と常設投資裁判所構想

［法科大学院］

形式的な履修要件はない。「国際法１」「[国際法２」を履修済みであるか、学部において国際法科目を履修済みであることを前提として講義を行う。

［公共政策大学院］

形式的な履修要件はない。「国際法」を履修済みであるか、学部において国際法科目を履修済みであることを前提として講義を行う。

期末試験(70%)、平常点(30%)。

平常点は、毎回課す予習課題への対応状況および講義での議論への参加により評価する。

使用しない。

講義で用いる文献資料は下記ウェブサイトにおいて指示する。資料には英語も含まれる。

• 中川淳司ほか 『国際経済法［第2版］』 (有斐閣、2012年) ISBN:9784641046573
• 松下満雄ほか 『ケースブックWTO法』 (有斐閣、2009年) ISBN:9784641046436
• 小寺彰（編） 『国際投資協定』 (三省堂、2010年) ISBN:9784385323305
• 経済産業省『不公正貿易報告書』
• Matthias Herdegen, Principles of International Economic Law, 2nd ed., Oxford University Press.
• G. Adinolfi, International Economic Law, Springer.
• Peter van den Bossche, Essentials of WTO Law, Cambridge University Press.
• Krista Nadakavukaren Schefer, International Investment Law, 2nd ed., Elgar.
• Surya P. Subedi, International Investment Law, 3rd ed., Hart Publishing.
• David Collins, An Introduction to International investment Law, Cambridge University Press.
• William A. Schabas, Research Handbook on International Courts and Tribunals, Elgar.

リンクのないものも間もなく図書館で利用できるようになります。

講義開始までに、酒井啓亘（ほか）『国際法』（有斐閣、2011年）第5編第1章を読んでおくこと。

受講者間で徹底的な討議を行う講義である。議論への参加の強い意思を持って受講されたい。