2015年度後期 演習(国際機構法)

ゼミの概要

法学部教務掛前にて閲覧に供されている概要と同内容です。

 

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科目

国際機構法
担当教員 M本正太郎
曜日
演習題目 琉球・沖縄をめぐる歴史・外交・法
演習の概要・目的 国際秩序を法的に把握する力を養うと共に、国際法や国際機構の法的活動が現実社会においてどのような役割を果たしているかを理解するために、沖縄をとりあげ、歴史的観点を踏まえて国際法の議論をする能力を身につけることを目的とする。
到達目標
  • 実例の分析を通じて、国際法・国際機構法の運用能力を身につける。
  • 専門的内容のリサーチを網羅的に行うことができるようになる。
  • 学術論文を作成するための基礎を身につける。
計画と内容

以下のテーマにつき、チームごとに報告する。学期末には、研究成果をチームで一つの論文にまとめる。他により良いテーマがあると考える者は、提案してくれれば検討する。

1.琉球王国の地位
 かつて、琉球「王国」なる「国」が存在していたことは知っているだろう。19世紀半ばまで、琉球王国が日本・清の両方に朝貢していたことを知っている者もいるだろう。では、その時期の琉球王国の国際法的地位はどのように説明できるだろうか。そもそも、その時期の琉球王国・日本・清に「国際法」という概念を当てはめて考えることにどのような意味があるのだろうか。琉球は、米・仏・蘭と「条約」を締結していた。その「条約」の法的地位はどのようなものなのだろうか。それら「条約」のその後の運命は?

2.琉球処分の法的性格
 明治政府は、「琉球処分」を断行した。この「処分」とは、国内法的にはどのような意味を持つもので、国際法的にはどのように説明できるだろうか。琉球(沖縄)は、この「処分」により日本領になったのだろうか。そうだとすれば、その理由は? そうでないとすれば、沖縄が日本領である根拠は?

3.日清境界画定交渉と沖縄
 日本は、清と国境画定交渉に臨んだ。それはどのような経緯をたどり、どのような影響を沖縄に与えただろうか。その経緯は、尖閣諸島を巡る現在の諸問題と何らかの関係があるだろうか。あるとすれば、どのような?

4.少数者としての「琉球」人
 現在、たとえば自由権規約人権委員会は、「琉球人」を自由権規約27条にいう意味での少数者だと理解している。それはなぜだろうか。また「琉球人」が少数者であれば、「琉球人」にはどのような国際法上の権利が生じ、日本はどのような国際法上の義務を負うのだろうか。それら権利義務はどのように実施されているか(いないか)

5.沖縄の独立可能性
 今のところ必ずしも現実的政治課題としてはとらえられていないが、沖縄独立運動は常に存在しており、現県知事も積極的にではないものの公式の場で言及するようになっている。世界各地での分離独立(の試み)の例と比較すると、沖縄独立の可能性について、国際法の観点からどのように評価できるだろうか。そもそもこれは国際法の問題なのか?

履修要件

国際法第一部・第二部とも履修済みであることが望ましく、少なくとも国際法第一部をゼミと並行して履修することを強く勧めるが、意欲と覚悟とがあればいずれも要件とはしない。

合否判定方法 平常点および論文
授業外学習(予習・復習) ゼミ開始までにしておいていただきたい最低限の準備について、期末試験終了後にM本のウェブサイトに掲載する。
その他の特記事項

教科書・参考書は使用しない。

使用文献の多くは英語である。英語読解力を鍛える場としても活用されたい。

質問があれば、e-mailで。