2013年度前期 演習(国際機構法)

ゼミの概要

ゼミ生への連絡(2月18日掲載)

4月までに、以下の文献を読み、準備をしておいて頂きたい。

1. 投資仲裁の概要につき把握しておく。
  • 酒井啓亘ほか『国際法』(有斐閣、2011年)第5章第3節「投資」
2. 「科学と法」に関する一般的議論を理解しておく。
3. WTOにおける議論を概観しておく。
  • 「特集 WTO体制における食の安全を考える」法律時報79巻7号(2007年)
4. 初回ゼミ予習課題

まずは、投資仲裁ではなく、より議論の蓄積が厚いWTOでの議論を学ぶことから始める。

  • WTO GMO事件パネル報告
    とんでもなく長大な報告であるので、まずは以下の日本語解説を読み、それを踏まえて原文の必要な箇所に見当を付けて、そこだけ読めば良い。
    • WTOの当該事件のページから、表の一番下のPanel Reportをクリック、新しく出たウィンドウからReports of the Panelのすべて(Part 12まである)をダウンロード。 画面右の方から、英語・仏語・西語版がダウンロードできるようになっている。
  • 日本語での解説
    • 藤岡典夫『食品安全性をめぐるWTO通商紛争』(農文協、2007年)第5章
    • 松下満雄(上記3.の法律時報に掲載)
    • 松下満雄ほか『ケースブックWTO法』(有斐閣、2009年)104番

 

科目

国際機構法
担当教員 M本正太郎
曜日
演習題目と目的 非法的判断に法律家はどう立ち向かうべきか――投資条約仲裁を例に
遺伝子組換トウモロコシを食べ続けると肝臓・腎臓障害のリスクが増大すると言う研究者と、そんなことはないと言う研究者とがいる。金融危機に際し、政策Aを採用すべきと言う経済学者と、それは危機を悪化させるので政策Bを採用すべきだと言う経済学者とがいる。このような場合に、国家が、遺伝子組換トウモロコシを禁止したり、政策Aを採用したりすることは、法的にいかにして説明できるか。この種の問題を扱った国際投資仲裁判断例の分析を通じて、国際的場面における法律家や政策担当者の役割について考えを深める。
計画と内容

世界銀行グループの投資紛争解決国際センター(ICSID)などに提起された仲裁事案において、専門家による科学的・経済学的判断の相違が示され、それが主たる争点となった例を扱う。受講生はチームに分かれ、具体的な仲裁判断例を担当し、当事者がどのように専門的知識を利用しようとし、仲裁廷がどのように対応しようとしたかを調べ、報告し、判例評釈を作成する。なお、受講生は投資条約仲裁についてこれまで一切学んだことがないとの前提でゼミを行う。国際展開する企業や、それを支援する法律家に関心がある者、より広くは「公と私」の関係について実践的かつ理論的に考えてみたい者を、特に歓迎する。

合否判定方法 ゼミでの議論への参加とレポート
その他の特記事項 用いる資料は全て英語である。質問があれば、hamamoto@law.kyoto-u.ac.jpまで。