2012年度後期 国際機構法

講義の概要

講義の記録
 

シラバス(2012年9月29日掲載)

 

 

10月9日 第1部第1節1. ヨーロッパ

予習課題

  • 課題文(要PW)
    パスワードは、教室で説明したものに変更しました。

配付資料

注意

 本日の講義を録音している受講者がいましたが、次回からは録音は止めて下さい。次回より、現場で注意します。

10月11日 休講
10月16日

第1部第1節2. 東アジア

予習課題

  • Hamamoto, "International Law, Regional Developments: East Asia", in Max Planck Encyclopedia of Public International Law, vol. 5, Oxford, Oxford University Press, 2012, pp. 907-926.
    このpara.39まで読み、シラバス「講義計画」の課題につき考えてくる。

講義中に紹介した文献

  • 岡本隆司『属国と自主の間』(名古屋大学出版会、2004年)
  • 岡本隆司『世界の中の日清韓関係史』(講談社、2008年)
     いずれも、どちらかといえば次回講義に関係する文献です。
10月18日 第1部第1節3. 中東・北アフリカ、第2節2. 東アジアにおける展開(合わせて扱います)

予習課題

  • 10月16日の課題文 paras. 40-66.
  • 課題文(要PW)
10月23日 第1部第2節1. 大国共存の秩序

予習課題

  • 太寿堂鼎「国際先占原則の成立と展開」太寿堂鼎『領土帰属の国際法』(東信堂、1998年)〔初出、1955年〕。
  • 課題文を読み、シラバスの課題(3つめと4つめ)につき考えてくる。

配付資料

参考文献 この回に扱ったテーマをさらに考えるためには、まず以下の文献を読むことを勧めます。

  • 松森奈津子『野蛮から秩序へ――インディアス問題とサラマンカ学派』(名古屋大学出版会、2009年)
10月25日 第1部第3節1. 国際機構法前史

予習課題

10月26日3限(補講) 第1部第3節2. 主権概念の動揺 "The Great War"の衝撃

予習課題

配付資料

10月30日 第1部第3節4. 連盟体制の崩壊

予習課題

11月1日 第1部第3節3. 主権概念の止揚?

予習課題

11月6日 第1部第3節5. United Nations

予習課題

11月8日 第2部第1節1. 国際機構の存在

予習課題

  • 国連損害賠償勧告的意見
    意見を読み、「講義計画」に示した問題を考えてくる。意見の日本語での要約は、「講義計画」に示した判例集に掲載されている。

配付資料

11月13日 第2部第1節2. 国際機構の権限

予習課題

11月15日 第2部第1節3. 国際機構の意思決定

予習課題

11月20日 休講
11月22日 11月祭のため講義なし
11月27日 第2部第1節4. 国際機構の法定立権限

予習課題

11月29日 第2部第1節5. 国際機構の責任

予習課題

  • 前回課題文の「課題3」
  • 課題文(要PW)
12月4日 第2部第1節5. 国際機構の責任 その2

予習課題

12月6日 第2部第1節6. 国際機構の責任 その3

予習課題

12月11日 第2部第1節7. 国際機構を構成する「人」

予習課題

予告 12月21日(金)3限に補講を行います。
12月13日 第2部第2節1. 超国家型 EU その1

予習課題

12月18日

第2部第2節1. 超国家型 EU その2

12月20日 第2部第2節1. 超国家型 EU その3

講義中に言及した資料

12月21日
3限
(補講)
第2部第2節1. 超国家型 EU その4
この日の講義は、法科第3教室(総合研究棟2号館(法科大学院棟))で行います。
1月8日 中休み 過去の試験問題の検討
1月10日 第2部第2節2. 分散型 ASEAN

予習課題

ASEANの概要については、

を熟読されたい。その上で、以下の諸点について、国連・EUと比較しつつ、ASEANの特徴をまとめ、なぜそのような特徴を帯びているのかを考えてくること。

  • 機構内構造面 諸機関のあり方
  • 権限の事項的範囲(対象分野)
  • 法規範定立機能
  • 法執行機能
  • 意思決定過程

追加参考文献

  • 山影進『ASEAN――シンボルからシステムへ』(東京大学出版会、1991年)
  • 黒柳米司(編)『アジア地域秩序とASEANの挑戦』(明石書店、2005年)
  • 永井史男「ASEAN」片山裕・大西裕(編)『アジアの政治経済・入門〔新版〕』(有斐閣、2010年)
  • 山影進(編)『新しいASEAN』(アジア経済研究所、2011年)
1月11日
3限
( 補講)
第2部第2節3. 国際機構「みたいなもの」 法科第三教室(12月21日に同じ)

予習課題

  • 課題文(要PW。講義課題にいう「国際公企業」に対応)
  • (余裕があれば)柴田明穂「南極条約事務局設置の法的意義」岡山大学法学会雑誌53巻3・4号(2004年)(課題文にいう「国際事務局」に対応)

  これらを参照しつつ、講義計画に記した問題について考えてくる。

1月17日 第3部1. 国家の壁を破る?国際機構

予習課題

追加資料

  • IMFコンディショナリティ
  • 古城佳子「『緩やかな国際制度』と遵守――IMFのコンディショナリティを事例として」国際法外交雑誌100巻2号(2001年)
  • 桐山孝信「世界銀行における開発と人権の相克」国際法外交雑誌102巻4号(2004年)
1月22日 第3部2. 私的に形成される公秩序

予習課題

1月24日 第3部3. Globalとinternational

期末試験

試験問題

2013年2月13日(水)実施

 

講評

○問1

 典型論点の一つであり、特に解説は要しまい。講義資料と参考文献とを読み返していただきたい。

 国際行政連合について縷々説明する答案が散見されたが、「会議体制」について問われていることに留意されたい。

 

○問2

 講義中に予告しておいたように、「答が見えない」問題である。講義で身につけた知見・思考能力を最大限発揮して、自分なりの議論を展開していただきたい。採点にあたっては、評価すべきところのみを見るようにし、的外れなことが書かれていても減点はしていない。

 

(1)

 講義でも詳細に議論したナミビア勧告的意見をどう理解するかが一つの課題となる。たしかに、本問の想定では、国連の"a general practice"が確立したとは言い難い。他方、もし、"a general practice"が確立していないから、という理由のみによって決議採択を否定するのであれば、常任理事国の棄権投票が最初になされた時点では決議は有効に成立していなかった、という結論を受け入れなければならなくなる。

 答案の中には、ナミビア勧告的意見の「棄権は決議案に対する反対を示すものではない」という一節に着目したものがあった。慧眼である。これを前提に、「とはいえ、決議採択には反対していないのだから、この『反対』なるものは法的には決議案に対する反対ではない」と論じるものもあった。強弁と言えば強弁ではあるが、ナミビア勧告的意見の先の一節を踏まえた上での議論であれば、困難を正確に理解した上で敢えて創造的議論を展開しているため、高い評価に値する。

 

(2)

 「総会決議により新たな合意が成立したため、有効に採択される」とのみ述べる答案が多かった。一理はあるが、十分と言うにはほど遠い。まず、そう言うのであれば、国連憲章108条との関係について何か一言説明が必要である。また、憲章18条を考えると、総会決議の採択=国連全加盟国間の合意と常に言えるだろうか? 何らかの場合分けが必要になるはずである。

 他方、この場合も安保理決議は有効に採択されない、という主張も見られた。これもやはり場合分けをして欲しいところである。たとえば、国連総会で例の決議案がコンセンサスで採択され、安保理で問題の決議が14対1となり、賛成票を投じた14カ国も当該「反対」票を投じた常任理事国の声明に異論を唱えず、かつ議長も決議採択を宣言した場合はどうだろうか。これも、常任理事国の棄権票が投じられた最初期の段階の事情を振り返って考えていただきたいところである。