2012年度後期 国際行政制度

講義の概要

講義の記録
 

 

10月10日

第1部2.国際機構の法人格・法主体性
「1.」を後回しにすることに注意。

予習課題

  • 国際司法裁判所 国連損害賠償勧告的意見
    勧告的意見を読み、以下について考えてくる。講義では、以下の問題を中心に討論を行う。
    • 国際機構が国際法人格を有するとは、どういうことか。
    • どのような条件が充たされれば、国際機構に国際法人格が認められるか。
  • 参考文献(講義の概要に挙げたもの以外)
    • 日本語での意見概要
      • 松井芳郎(編集代表)『判例国際法(第2版)』(東信堂、2006年)〔判例26〕
      • 小寺彰ほか〔編〕『国際法判例百選(第2版)』(有斐閣、2011年)〔判例38〕

講義の際に、第2部で担当したいテーマを割り当てるので、考えてくること。

 

10月17日 第1部1.国際機構の成立

予習課題

  • Hamamoto, "Joint Undertakings", in Max Planck Encyclopedia of Public International Law, vol. VI, Oxford, Oxford Univ.Pr. 2012, pp. 483-488.
    課題文を読み、 国際機構と、似ているが違うものとを比較し、どこがどのように違い、その違いはなぜ生じるのかを考えてくる。
  • 参考文献
    • 柴田明穂「南極条約事務局設置の法的意義」岡山大学法学会雑誌53巻3・4号(2004年)119頁。
 
10月24日 第1部3.国際機構の内部構造

予習課題

 以下の国際機構の内部構造(諸機関)を調べ、どのような違いがあり、その違いがなぜ生じているのか、その違いにどのような意味があるのかを考えてくる。

 

10月29日(補講) 第1部4.国際機構意思決定過程

予習課題

  1. 少なからぬ機関では1国1票制が採られる。人口等様々な差異のある国を同じに扱うことは、どのように正当化されるか。
  2. 国連安保理の拒否権制度はどのように正当化されるか。国連憲章起草時にどのような議論があったか。その後の運用において、何らかの制約の試みはなされているか(参照、2012年9月29日NZ外相演説記事)。
  3. EUについて、
    1. 通常立法手続」を簡潔に説明せよ。
    2. EU理事会の加重表決制における票数の配分は、どのように正当化されるか。
    3. EU議会議席配分における国ごとの一票の格差(各国人口はこちら)は、どのように正当化されるか。
  4. 「コンセンサスにより決定する」とは、具体的にどのようにして決定することを言うか。具体的事例・典拠を示して回答せよ。

配付資料

  • Improving the working methods of the Security Council, UN Doc. A/66/L.42
10月31日 第1部5. 国際機構の権限

予習課題

  1. 国連経費勧告的意見
    1. 国連の行為に有効性が推定されるのはなぜか。
    2. 有効性の推定に限界はあるか。
  2. リビア制裁関連 U.N. Doc. S/1998/1237, paras. 12-14.(UN ODSで検索)
    1. これら不服従を法的に正当化しようとすれば、どのような理由付けが可能か。
 
11月7日 第1部7. 国際機構の法定立権限

予習課題

「国際機構は、一定の場合に立法権を有する」と言われることがある。以下の例を前提に、「立法」の意味と、当該権限の根拠につき、それを「立法」と称することに対してあり得る批判を想定した上で、考えてくる。

  1. 安全保障理事会決議1373 (2001), 1540 (2004)
  2. WHO総会決議(WHO憲章22条)
  3. ICAO理事会決定(シカゴ条約37条、54条1項、90条(a))
  4. OECD(OECD条約5条(a))
  5. EU(EU運営条約288条)

 

 
11月14日 第1部9. 国際機構の責任 その1(8.を後回し)

予習課題

 ヨーロッパ人権裁判所ベーラミ事件決定は、国連憲章第7章に基づく安全保障理事会決定により与えられた任務を遂行する国連加盟国の軍隊の行為につき当該国連加盟国は責任を負うかどうかを検討し、当該事件の事実関係において否定的結論を導いた。どのような理由付けでそれを否定したか、また、その理由付けに賛成かどうか、考えてくる。

参考文献

  • 薬師寺公夫「国連の平和執行活動に従事する派遣国軍隊の行為の帰属」立命館法学2010年5・6号下巻1573頁。
  • 薬師寺公夫「国際機関の利用に供された国家機関の行為の帰属問題と派遣国の責任」松田竹男ほか(編集代表)『現代国際法の思想と構造 I. 歴史、国家、機構、条約、人権』(東信堂、2012年)183頁。
 
11月21日 報告準備
11月28日 1回目報告 その1
  • 国際共通価値の侵入 WTOの憲法化とはどういう意味か
  • 部分秩序の集積は全体秩序を構成するか 国際投資協定と一般法
12月5日 1回目報告 その2
  • 国際機構と連邦国家との間 EUは「憲法」を持つか
12月12日 1回目報告 その3
  • 世界政府でない普遍的政治機構 国連憲章は国際社会の「憲法」か
  • 私的主体・私的手法による公秩序形成は可能か ドーピングの国際的規制
12月19日 2回目報告 その1
  • 部分秩序の集積は全体秩序を構成するか 国際投資協定と一般法
1月16日 2回目報告 その2
  • 国際共通価値の侵入 WTOの憲法化とはどういう意味か
  • 国際機構と連邦国家との間 EUは「憲法」を持つか
1月23日 2回目報告 その3
  • 私的主体・私的手法による公秩序形成は可能か ドーピングの国際的規制

レポート

  • 1万字以内
  • 2月12日(火)17時
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  • 文献引用法は、法律編集者懇話会「法律文献等の出典の表示方法」に依ること
  • 参考文献リストは不要