2012年度後期 公共政策大学院 国際行政制度

 

講義の概要
 

 

後期・2単位

 

講義の概要・目的

本講義は、現在の国際社会においてその組織化がどのように展開されているかを理解することを目標とする。そのため、前半(第1部)では、国際社会を組織化する(international organization)役割をかなりの程度担っている国際機構(international organizations)が現実の場面で直面する法的問題について、理論的な基礎を押さえた上で、実践的な対応策を見いだす能力を身につける。後半(第2部)では、そのような国際機構の働きを前提に、国際秩序全体の「憲法化(constitutionalization)」が生じていると言えるか、言えるとすればそれはどのような意味においてか、を理解する。併せて、国際機構に関する資料(その多くは英文)を読み解く能力と、集団的討論に積極的に参加する能力とを身につけることも目指す

講義計画と内容

  第1部 国際行政と国際機構

  1. 国際機構の成立 国際機構と「それに類するもの」との違いは
  2. 国際機構の法人格・法主体性 国際機構を「国際機構」として把握する意義
  3. 国際機構の内部構造 その多様性と共通性
  4. 国際機構の意思決定過程 様々な意思決定過程はそれぞれどのような目的を持っているのか
  5. 国際機構の権限 なぜ国際機構の行為は有効と推定されるのか それでも構成国が抵抗したらどうなるか
  6. 国際機構の法定立権限 国際機構は立法者たり得るか
  7. 国際機構における紛争処理 国際機構の「内側」での紛争はどのように処理されるか
  8. 国際機構の責任 国際機構の活動が損害を生ぜしめる場合、誰がどのように責任を負うか
  9. 国際機構に関する紛争処理 国際機構が主体となる紛争はどのように処理されるか

    第2部 国際秩序の「憲法化」の意義
     
  10. 世界政府でない普遍的政治機構 国連憲章は国際社会の「憲法」か
  11. 国際機構と連邦国家との間 EUは「憲法」を持つか
  12. 国際共通価値の侵入 WTOの憲法化とはどういう意味か
  13. 部分秩序の集積は全体秩序を構成するか 国際投資協定と一般法
  14. 私的主体・私的手法による公秩序形成は可能か ドーピングの国際的規制
履修要件
 履修要件とはしないが、受講生は「グローバルガバナンス」および「国際法」を履修済であるとの想定の下に講義を行う。
成績評価の方法・基準
 講義における討論、発表(第10回〜第14回)、およびレポート(期末に1回)。
教科書・参考書
 

【教科書】教科書は使用しない。必要な資料は講義時に配付またはダウンロードを指示する。

【参考書】

  • 最上敏樹『国際機構論(第2版)』(東大出版会、2006)
  • 佐藤哲夫『国際組織法』(有斐閣、2005)
  • 酒井啓亘(ほか)『国際法』(有斐閣、2011年)
  • Ph. Sands & P. Klein, Bowett's Law of International Institutions, 6th ed. (Sweet & Maxwell, 2009)
  • Jan Klabbers, An Introduction to International Institutional Law, 2nd ed. (Cambridge Univ.Pr., 2009)
    その他、講義で指示する
その他

第1部は、予習において基本的事項を理解してくることを前提に、講義では、予習の過程で理解できなかった問題を簡単に扱った後、各階の主題に関する具体的事例について議論しながら分析を深める。 第2部は、受講生をグループに分け、特定の課題についてグループ単位で報告を行い、全体で議論する。 オフィスアワーは特に設けないので、直接またはメールでアポイントメントを取ること。