2011年度後期 国際機構法

概要

以下は、『便覧』に掲載されるものと同一である。

「講義計画と内容」の詳細については、9月に本サイトに公表するシラバス→9月20日掲載を参照されたい。

講義の記録は →こちら 

講義の概要・目的
 プロセスとしてのinternational organization(国際社会の組織化)と被造物としてのinternational organization(国際機構)との法的意義を検討することを通じて、国際関係を法的に把握する力を養成する。

 国際機構法は、現在の国際社会を法的に見るための重要な視点を提供してくれる。国際関係に関心のある者、国内法とは異なる観点から眺めることにより「法」について考えを深めたいと思う者の参加を歓迎する。

 本講義では、「読めばわかる」ことは予習に委ね、教室では読んでもわからないことについて議論を重ねる。学生参加型の講義であることに留意されたい。 

講義計画と内容
  国際社会の組織化および国際機構の役割につき、法的観点から歴史的に検討する。以下は概要であり、詳細な講義計画は初回講義で配付すると共に、下記ウェブサイトに掲載する。
  1. 国家主権の誕生
  2. 国家主権を知らない世界
  3. 国際的安全保障体制の萌芽
  4. 「国際」社会の拡大
  5. 第一次世界大戦の衝撃
  6. 初の平和機構・国際連盟
  7. 植民地支配と文明
  8. 初の常設裁判所・PCIJ
  9. 国際連盟期における経済・文化・労働問題の規律
  10. 連盟体制の崩壊
  11. 枢軸国の国際秩序構想――「広域秩序」「大東亜共栄圏」
  12. United Nationsの国際秩序構想(1)――国連集団安全保障
  13. United Nationsの国際秩序構想(2)――ブレトン・ウッズ体制
  14. United Nationsの国際秩序構想(3)――国際人権保障
  15. 国際機構法の誕生――損害賠償事件
  16. 国連加盟・代表権問題
  17. 植民地独立と国際秩序変動
  18. 冷戦と国際機構――平和維持活動の誕生
  19. 国際機構行為の有効性推定――ある種の経費事件
  20. 国際公務員法
  21. 国際社会の多極化と国際機構――ブレトン・ウッズ体制の変容
  22. 冷戦終結と安全保障――安保理の「活性化」
  23. 安保理の「暴走」?
  24. 冷戦終結と経済秩序の再構成
  25. 国家の相対的地位低下――国際機構による統治・貧困対策
  26. 地域統合(1)――欧州統合史
  27. 地域統合(2)――EUの機能と役割
  28. 地域統合(3)――ASEANとAPEC
履修要件
 特になし
成績評価の方法・基準
 期末試験
教科書
 特に指定しない。毎回の講義時に、予習のための資料を配付する。「国際」機構法であるため、本講義で用いられる資料の大半は英語である。
参考書等
  • 藤田久一『国連法』(東京大学出版会、1998年)
  • 佐藤哲夫『国際組織法』(有斐閣、2005年)
  • 最上敏樹『国際機構論』(東京大学出版会、第2版、2006年)
  • 松井芳郎(編集代表)『判例国際法』(東信堂、第2版、2006年)
  • 酒井啓亘ほか『国際法』(有斐閣、2011年)
その他

 オフィスアワーは開講時に指定する。

 「読めばわかる」ことは予習に委ねるため、相当量の予習をこなしてくることが出席の前提である。また、教室には、教員の話や他の学生の発言を聞くためにではなく、教室全体での議論に参加するために来ていただきたい。個人的な事情により議論に参加することはできないが、それでも講義に出席したい、という学生は、事前にM本に連絡すること。

 初回講義の予習課題は、9月にこのウェブサイトに公表する。過去の講義の記録も掲載しているので、参照しておいていただきたい。