2010年度後期 法科大学院・国際法特講 公共政策大学院 国際法(人と活動)

 

講義の概要
 

以下は、公共政策大学院の『便覧』に掲載されたものと同一です。

法科大学院生は、TKC LS教育支援システムを参照して下さい。

前期・2単位

講義の記録は →こちら

講義の概要・目的
 国際法分野のうち、国内にいながらにして最も「使う」機会の多い人権・経済関連規則・制度の理解を深める。

講義計画と内容

全体構造  第1回〜第7回で人権を、第8回〜第14回で経済を、それぞれ扱う。人権・経済に関する国際法を「いかに使うか」という観点から講義を行う。

第1部

 人権

 日本国憲法における人権保障の理解を前提に、それとの違い・ずれに重点を置きつつ、国際人権法を検討する。
1. 導入
  • 国際法における人権保障制度形成
  • 「国際」人権法の全体
2. 差別禁止
  • 遵守差別
  • 性差別
3. 人身の自由・公正な裁判を受ける権利
  • 刑事拘禁
  • 接見交通
4. 外国人の人権
  • 「外国人の人権」という捉え方
  • 参政権
  • 社会権
5. 難民
  • 難民認定手続
  • 難民認定基準
6. 少数者の保護
  • なぜ「少数者」というカテゴリーが必要か
  • 先住民
7. 国際手続による人権保障と法曹の役割
  • 政府報告手続
  • 個人通報手続
  • 憲法上の問題

第2部

 経済

8. 導入
  • 国際法による規制の歴史的経緯
  • 国際経済法の全体構造
9. 通商1 WTOの対象分野と基本原則
  • GATT
  • GATS
10. 通商2 貿易救済制度
  • ダンピング防止
  • 補助金規制
  • セイフガード
11. 通商3 WTO紛争処理制度
  • DSB手続の構造
  • 他の国際紛争処理手段との比較
12. 投資1 紛争処理手続の展開
  • 投資保護の歴史的経緯 外人法から国家契約そしてICSID
  • 投資家対国家仲裁手続
13. 投資2 実体規範
  • 収用
  • 公正衡平待遇
  • 義務遵守条項
14. 途上国問題
  • 新国際経済秩序の提唱と沈滞
  • 分野ごとの対応
履修要件
 受講生は「国際法」を履修済である(もしくは同程度の理解を有している)との前提で講義を行う。
成績評価の方法・基準
 筆記試験および平常点による。
教科書・参考書
教科書  指定しない。予復習に必要な資料は、講義時に資料を配付する。英語による資料も少なからず利用する。
参考書
  • 国際法全般 酒井啓亘ほか『国際法』(有斐閣、2010年刊行予定)
  • 国際人権法 薬師寺公夫ほか『法科大学院ケースブック 国際人権法』(日本評論社、2006年)
  • 国際経済法 『2010年版不公正貿易報告書』(経済産業省ウェブサイトからダウンロード可。WTO・投資に関する部分のみ)
その他
 双方向・多方向方式による。 この講義は法科大学院の学年暦に従って開講される。公共政策大学院の学年暦とは多少のずれがあることに留意されたい。