これは、法学部が配布する「授業要覧」に掲載されているものです。

国際法概論     助教授 M本 正太郎

 

授業のテーマと目標

 国家間関係を中心とする国際関係を規律する法である国際法の基本的問題を取り扱う。

 本講義は、国際人権法・国際紛争処理法・戦争安全保障法・国際機構法・国際経済法などを学ぶ上での前提となる。

 

授業内容の要旨と授業計画

 はじめに なぜ国際法を学ぶのか

 T.国際社会の法的構造

   国際社会の構成員 国家・国際機構・企業・NGO……

     国家

       成立と消滅  国家承認・国家承継

       主権  国際法の国際法たる所以

          不干渉

          平等

     国際機構・企業・個人・NGO

   国際社会の空間秩序

     基本原理 管轄権の配分

       領域管轄権の原則性と例外

       領域外管轄権の例外性とその例外

     具体的規則 陸・海・空

 U.国際法の形成

   国際法の存在形式

     慣習法・条約・法の一般原則

   国際法形成過程の特質

     伝統的特質 立法機関の欠如

     新たな傾向

 V.国際法の適用・執行

   国内平面での適用・執行

     理論的問題 国際法と国内法との関係

     実践的問題 日本国憲法98条2項を中心に

   国際平面での適用・執行 →「国際紛争処理法」

 

教科書

 藤田久一『国際法講義T(国家・国際社会)』(東大出版会、初版第4刷、2000年)

 田畑茂二郎ほか編『判例国際法』(東信堂、2000年)

 条約集(「解説条約集」(三省堂)・「国際条約集」(有斐閣)・「ベーシック条約集」(東信堂)のいずれか)

参考書

 開講時に参考文献を指示する。

 

履修上の注意

 事前に読んでおくべき教科書の範囲・参考文献を毎回指定する。きちんと予習してくることを前提に講義を行うことに留意されたい。

 

成績評価方法

 期末試験。なお、自由参加の中間試験を行い、中間試験で高得点を得た場合、期末試験の成績に加算する。

 

学生へのメッセージ

 NATOによるコソヴォ爆撃・東ティモールの混乱・中台関係・竹島・オゾン層破壊・緊急輸入制限・従軍慰安婦・ヨーロッパ統合……。国際法は、国際問題を理解するための基礎となる。また、国内法とは全く異なる論理で動く国際法を学ぶことにより、法に対するより広い視野を養うことができる。日々新たに発生する現実の問題を手がかりにしつつ、現実を法的にとらえる訓練をしていこう。